この物語は、歴史上繰り返し起きたことであり、現在も起きていることであり、未来の予言でもある。
対立する両陣営の片方は、異質なものを排除し、同質のもの同士で団結することで社会が良くなると考える人たちである。歴史上ではクー・クラックス・クラ
ン、各宗教の原理主義、ナチス政権、オルタナ右翼などがこれに当たる。もう片方は、異質なものを包容することで社会が良くなると考える人たちである。多文化主義、宗教間の共存、無宗教、移民、同性愛などを肯定するリベラリストがこれに当たる。
この物語の主人公は、自分と同質のもの同士で団結し、異なるものを排除しようとする極右思想の持主である。主人公だからといって擁護すべき、感情移入すべき人物ということではない。それでも彼に照明を当てるのは、彼の経験と感情と思考回路に触れなければ、彼の不満と憤りに対応することができないからである。今まで社会はその問題に取り組んではきたものの、十分に対応しきれていなかった。
ジョージ・オーウェルの警告した、自由と多様性を抑圧する全体主義時代の後に、世界では自由民主主義が普及し、多くの地域で勝利した。だがまだ根強い対抗勢力があり、その完全勝利は訪れていない。問題はどこにあるのか。どうすればよいのか。
この物語の登場人物たちが、時に迷いながら、時に遠回りをしながら、道案内をしてくれることだろう。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-04 07:05:02
189786文字
会話率:25%
ラバ王国の大都市ジーエールにて、少年少女の集団失踪が相次いでいた。奇怪な事件に手が負えない王政らはこれを魔女の仕業だと判断し、苦肉の策として監獄塔で収容されている不死の大罪人"竜の魔女"の一時釈放をやむなくした。その重
要監視役兼児童集団失踪事件捜査の担当に選ばれた騎士オリアナ。彼女は竜の魔女の奔放さに振り回されながらも事件の謎を紐解いていくに従い、思わぬ真相へとたどり着く。
この世界は思ったよりも複雑で、単純で、そして興味深い。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-19 20:32:47
60075文字
会話率:59%
『一夫多妻制はそして、裕福な男性が一人以上の妻を持つことで、女性が貧しい男性に縛られることを防ぐシステムであった。一夫多妻制は女性にとっての社会主義の形であった』
ファレル,ワレン(2014)92P『男性権力の神話――《男性差別》の可視化
と撤廃のための学問』久米泰介訳,作品社.
精霊が管理する異世界トゥリェーチィに転生した社会主義者北忠男は、その世界の荒廃とそれによる社会の疲弊を目の当たりにして愕然とする。
豊かだったこの世界は意見を異にする精霊たちとそれを信じる者たちとの間で人や物の交流が途絶えてそれぞれに分断されてしまっていた。分断された世界ではもはやかつての生活、文化、道徳を維持していくことは出来なくなってしまっていたが、人々はまだその名残にしがみついていた。
彼は社会運動から改革を始める。彼は現在の社会に見合っているハーレムをつくり始める。彼は権力を得て技術革新により世界を元の発展度合いへと戻し始める。ハーレムなしでやっていけるように。彼はやり遂げなければならない。ハーレムを薦めてしまった責任を取るために。
『泣き言を言わず、腐ったリベラリズムを捨てて、自分の義務を果たさなければならない。ブルジョワ的なヒューマニズムは窓から投げ捨てて』
ファイジズ,オーランド―(2011)p159-160『囁きと密告 ─ スターリン時代の家族の歴史(上)』染谷徹訳,白水社.
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-09-30 06:36:00
17269文字
会話率:35%
主人公である葉通 昼【ホミチ アキ】は幼馴染と一緒に学校の帰り途中に、あることがトリガーとなって異世界にトリップしてしまう。そこで主人公が最初に会ったのは漆黒の精霊だった。
精霊に助けてもらった主人公はそれからトリップしたときにはぐれて
しまった幼馴染を探す為に世界を駆け巡る。
「…あれ? もしかして私の周りって人間がいないんじゃ…。何で!?」
精霊、聖獣、吸血鬼、魔王、魔物etcetcと人外に好かれる主人公の運命は…?
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2012-02-22 17:00:00
112198文字
会話率:35%