「そなたは《毒》か、それとも《薬》か」
皇姫であった慧玲(フェイリン)は先帝の罪により死刑を命じられた。
渾沌の帝と称され、帝国全土に毒をまき散らした凶悪なる帝……その姑娘。だが彼女は薬師の一族・白澤の叡智を修得していた。
慧玲は皇帝
の問いにこういった。
「私は、如何なる《毒》をも絶ちて《薬》と致しましょう」
帝国・剋は先帝の悪政によって《天毒地毒》の禍に苛まれていた。
地毒は人を蝕み、《毒疫》という奇しき病をひき起こす。
鱗に蝕まれた妃妾。脚から梅の咲きこぼれる舞姫。毒疫は如何なる医師にも癒すことができない。ただひとり、後宮にいる食医の姑娘を除いては。
「あなたはいったい」
「ただの食医でございます」
処刑を一時取りさげられた慧玲は身分を捨て、後宮の食医となった。妃嬪たちから渾沌の姑娘と謗られ、疎まれながらも典医が匙を投げた患者たちをたちどころに解毒していく。
最高に美味しい《毒》を患者に飲ませることで。
「毒は、毒を制すものですよ」「口に旨き毒は《妙薬》となるものです」
それは償いか。それとも復讐への階か。
慧玲のもとに現れた麗しき風水師。彼は不敵な微笑を湛えて、慧玲に囁きかける。
「貴女の死を望むものがいる。その敏さはいつか、貴女の身を滅ぼすよ。緩やかにまわる毒みたいにね」
彼は果たして敵か、味方か。逢うべきではなかったふたりの袖が振りあうとき、国の運命が動きだす。
・ ライト文芸寄りの後宮お仕事ものです。
恋愛はするかどうか謎ですが、異性バディ(イケメン)はいます。
・ こちらの小説は《カクヨム》にも掲載(同時に連載)致しております。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-23 17:54:48
436950文字
会話率:39%
《後宮》×《ミステリ》×《検視》×《エンバーミング》×《メイクアップ》×《恋愛?》
ワケあり妃は屍を葬り、身分格差、男女格差によって隠された死の真実を暴く!
先帝の死後、斉の後宮はひらかれた。
高官の妻妾選びの場となった後宮では、物騒な事
件が頻発するようになった。後宮丞の男 絳(コウ)は屍を蘇らすと噂の妖妃を訪ねる。
「死人に口はなしさ。けれども、死体は語るものだ」
綏(スイ) 紫蓮(シレン)
彼女は先帝の娘であり、後宮の死化粧師である。後宮中から蔑まれながらも誇り高い彼女の検視と推理によって、権力で揉みけされた事件の真実が明らかになる。
だが、彼女の本領は崩れた屍を復元して、最も美しい姿で葬ることだ。
「遺され、哀惜するひとたちのため、屍は一度だけ甦るべきだ」
絳は秘密裏に、紫蓮へと依頼する。
「先帝の死の真実をあばいてくれませんか」
屍を愛し、死に愛された「妖妃」と彼女に愛執する「奇人官吏」による後宮の暗黒事件簿、開幕!
ライト文芸寄りの後宮ミステリです。LGBTにまつわる事件もありますが、作者の思想よりも世界観を優先しており、現実の事件、人物、団体等とはいっさい関係なく、特定の人物、考えかたを非難、否定する意図はございません。
R‐15ほどの性描写、G15ほどの残酷描写がございます。
*連載について
第一部は毎日連載 更新は19時から21時になります
*お知らせ
メディアワークス文庫より「後宮食医の薬膳帖 廃姫は毒を喰らいて薬となす」
ファミ通文庫より「後宮の女官占い師は心を読んで謎を解く」
好評発売中です折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-02 06:39:55
186778文字
会話率:41%
むかしむかし。
とある村に、食事であらゆるケガと病気を治す「食医師」が存在した。
彼は村人からお金をとることはなかったが、住んでいる家は武家屋敷を思わせる豪邸だ。
彼の金はどっから来ているのだろう……。
最終更新:2020-10-01 20:00:00
3991文字
会話率:9%
裸の女が墓石と夜な夜なまぐわっている――奇妙な怪談噺が初秋の市中で流行っていた。町商人であった森村武臣は、かつての学友で、食医の九摺李笈助の元に相談に訪れる。武臣の悩みと、墓石とまぐわう“けらけら女”の正体とは? 和風、ホラー、人情、ちょっ
ぴり謎解き。*エブリスタにも投稿しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-05-09 17:11:58
9568文字
会話率:57%