結婚する前の話です。
折しもその日はお盆でした。
彼の実家は昔ながらの日本家屋で、玄関を開けると線香の匂いが私を出迎えました。
玄関を上がって奥の仏間には先祖代々のご位牌が祀られた仏壇が鎮座し、夏野菜と共にお供え物が並べられていました。
線
香の煙が筋のように立ち上る仏壇に手を合わせると、私は彼の部屋がある2階へ向かいました。
まさかこの夜、人生32年目にして初めて心霊体験をするとは想像さえしていませんでした。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-11-12 14:15:51
3279文字
会話率:10%
夏の想い出は夢を見てる
昭和のあの道
年輪のような年寄の皺
入道雲の堕とす黒い影
凌霄花を浮かべたバケツの中
オルゴールの中のゼンマイには
幽かな幽霊が取り憑いていて
電柱は警官になっては
夏の扉を警備している
熱風が麦藁帽子を飛ばして
無
垢な子供達が駆けだすと
夏の歯車は廻りだす
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-03-26 02:29:40
3059文字
会話率:0%
仕事から帰って玄関の扉を開けると蚊取り線香の匂いがした。匂いをたどって行けば、そこには縁側に座る夫の姿とその膝枕で眠る娘の姿があった。
横に座った私は夫に蚊取り線香の匂いをかぐと甦る思い出について語り出す。
私と祖父の思い出。
「ぐるぐるの
夜」の思い出を。
黒森 冬炎様の螺旋企画、参加作品です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-03-21 14:38:36
1827文字
会話率:26%
晴れ着姿で大学の卒業式に参加していた主人公高城は帰り際にトラックに轢かれてしまう。
自分の非モテ人生を呪いながら意識を喪った高城はふと目覚めた時に自分が死んでいない事に気付く。
「知らない天井……な訳ないか。俺の実家だし」
高城は自分が先ほ
ど見た光景はソファで寝ている時に見た悪夢であるのだと断定し身を起こした。
「……臭」
身を起こした時に気付いた臭気の違和感。
此れはまごう事なき蚊取り線香の匂い。
何やら視界の下から煙も上がっている。
「いや。季節を考えろ。今は春だぞ」
高城は下を見る。
「……」
其処にあったのは葬式用の線香だった。
そしてソファだと思っていたのは棺だった。
「……!」
直ぐさま駆け出した。
鏡のある風呂場へ。
そして見た。
「マジかよ」
其処に居たのは死装束に身を包んだ自分の姿だったのだ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-09-27 01:38:29
1827文字
会話率:17%
蚊取り線香の匂いがする。
僕はアイリと電子柱の影を踏む。
そうして、この夏はたったの一度だけだと思い知る。
最終更新:2019-08-23 23:43:04
1523文字
会話率:63%
前世では恋人だったんですよ。転入生の静香はそう言って指を絡めた。潮と線香の匂いが包む港町の海では、行方不明者が出る。静香も波のない穏やかな日に海に消えてしまった。また会いに来るという言葉を残して。薄暗く、前半は百合気味です。
最終更新:2014-10-18 12:20:25
10634文字
会話率:47%
「ファー!」「うっせえ」あるカップルのお話し。
最終更新:2013-11-28 19:24:58
6396文字
会話率:47%
陽介(ようすけ)はいつもの見慣れた家に帰ってきた。
ただ一つ足りないことは前のように妻がいないことだった。
線香の匂いが部屋の中に充満している。
陽介はあの日一人になった。
一人で立ちすくんでいると懐かしい声がした。
そこにはもう会えないは
ずの妻 月子(つきこ)がそこにはいた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2012-07-14 16:06:46
7517文字
会話率:40%
蚊取り線香の匂いが誘う感傷。懐かしさ、せつなさ。
最終更新:2011-05-26 21:00:00
1187文字
会話率:0%