平岡 志乃(ひらおか しの)は瀬戸内の軍港で栄える港町で、母と二人の妹とともに、慎ましくも幸せに暮らしていた。
幼い頃より箏(こと)を習っていた志乃。
女学生になった今、その腕前は師匠にも認められるほどになっている。
尋常小学校で教師
をする厳格な母のもと、志乃は箏の稽古に励む日々をおくっていた。
しかし、一家の大黒柱である母が突然、病に倒れてしまう。
病気の母と幼い二人の妹を抱え、途方に暮れる志乃。
そんなある日、絶望の淵にいた志乃に、金銭的援助の話が舞い込んだ。
援助の条件は、ある男性の妻になることだという。
相手が誰かも知らぬまま、男性の妻になることを決意する志乃。
そんな志乃に明かされた男性の正体は、皆から“死神”と呼ばれ、恐れられる人だった。
※ゆりいろ……箏(こと)の演奏技法のひとつで、音の余韻をだすために、左手で絃を押して揺らすことをいいます。
※この物語はフィクションです。時代考証等々、現実にそぐわない部分もあるかと思いますが、ご理解いただいた上でお楽しみいただければ嬉しいです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-11 06:00:00
118517文字
会話率:31%
ミュージシャンを撮り続けるカメラマンの谷沢麻里。
麻里はかつて、シンガーソングライターとしてステージに立っていた。
その頃の麻里は、歌うよりも不安ばかりを抱き続ける毎日だった。
私は何のために、誰のために曲を作るのだろうか。歌うことに、どれ
だけ意味があるのだろう。
そしてある日、その想いは麻里の心の糸を焼き切った。
ミュージシャンとして、表に出て活動を始めた成瀬梨絵。彼女は女子3ピースバンドのメンバーだった。
疑問を抱かず迷うことなく、メンバー二人とステージ下で写真を撮る麻里の為だけに、今日もギターを弾いている。
今の活動に拘りはない。三人の為ならどこへでも行く。彼女にとってはファンの評価も集客も、関心も必要性もないことだった。
希望と挫折。願いと想い。音楽と写真をハブに、互いに支え背中を押し合うストーリー。
※『天才箏(こと)弾きはなぜ弾かずに歌うのか?』の半年後~一年後のストーリーです。
※ この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
※ この小説は、同名義でカクヨム様にも掲載しております。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-02-28 12:00:00
10070文字
会話率:17%
お箏(こと)の演奏家にしてシンガーソングライター・彩。その彩をサポートする、クラシックギター&アコギ弾きの私・梨絵。
ステージの主役とサポート役。真逆の性格、真逆の演奏スタイル、真逆の生き方の二人。
でもどこか通じ合うものがある。
偶然の出会い。そして初めての音合わせ。その瞬間から、二人は互いが離れられない存在となった。
ちょっとしたすれ違い。悩み、心の壁を打ち破りながら、互いをより理解しようする姿。
そんな女性ミュージシャン二人のストーリー。
※ この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-02-27 23:20:50
30408文字
会話率:16%
大正時代。
華族の宮本家に仕える雪里(ゆきざと)かや音(おと)は、16歳の女中の少女である。
夏の夕暮れ、宮本家の令嬢である、響子(きょうこ)に貰った風車にふーっと息を吹きかけ、廻して遊んでいたところを、冬の灯のように冷静な二十四の若き家令
・霧峰護両に見つかってしまい――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-01-22 15:17:43
869文字
会話率:25%