蒸気機関車が国を駆け抜け始めたころ。
山と水に抱かれたクロノフェルデ王国では、鐘楼の音が朝・昼・夕に響きわたり、人々の暮らしを律していた。
王国を導くのは、時と歯車の神を掲げるヴェルツ正教。
正確な時を刻むことが、人としての正しさとされるこ
の国で、村々にも教会と時計塔が建ち並び、司祭たちが時の教えを説いている。
ルーシュはその教会に育てられた少年だった。
物心つくころにはすでに鐘楼の歯車に魅せられ、振り子の規則的な揺れに耳を澄ませていた。
ともに育った領主の娘エルザとは、幼い頃からどこか噛み合わないままも、並び歩く日々を送る。
家の名誉を背負うエルザと、教会に生きるルーシュ。立場は違えど、互いの歩む時間が交差することを、ふたりは心のどこかで願っていた。
だが、穏やかなはずの村にほころびが訪れる。
御神木の倒壊、古井戸の異変、水車小屋の崩壊。
まるで何者かが、村の「時」を狂わせようとしているかのような事件が次々と起きる。
誰もがそれを天の兆しかと恐れるなか、ルーシュは積み重ねた観察と技術を武器に、疑念の先へと踏み出す。
導かれるように機械の中を覗き込み、わずかなズレと変化を見つけ出していく。
ヴェルツ正教が掲げるのは「時の理」。
しかし、理が人を救うとは限らない。
村でひそかに積み重なってきた歯車の狂いは、やがて国全体を巻き込む大きなうねりとなっていく。
やがて少年は青年へと成長し気づいていく。
小さな村で回る歯車も、大きな国の歯車も、繋がらないようでいてひとつの機構の一部だと。
そして、どんなに細く小さな歯車であっても、たしかに時を動かす力があるのだと。
時間は止まらず、歯車は巡る。
──すべての歯車が重なるとき、少年はその手で何を動かすのか。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-04 15:00:00
186368文字
会話率:33%
数十年前、突如として世界中に「ダンジョン」と呼ばれる謎の構造物が現れた。
これらのダンジョンが誕生した理由や仕組みについては依然として解明されていないが、その内部には希少な資源が眠っており、人類はそれらの恩恵を享受してきた。
特にダンジ
ョンの探索者たちは命を懸けてこれらの資源を回収し、その見返りとして巨額の報酬を手にしていた。
これはそんなダンジョンの存在が当たり前となった時代に生きる青年「片倉 真祐(カタクラ マサヒロ)」が、ダンジョンに挑みそして望みを叶える物語。
しかし望みは天高く、そこに至るまでの道は険しい。
道を往く度に積み重なっていく骸は、果たしてどこまで高くなるのだろうか。
※
本作は「ネオページ」で独占連載契約中の新作を転載したものです。本来ならば他サイトには転載できないのですが、制限の一部が緩和されたとのことで、ネオページでの連載速度を上回らず、かつ一定の文字数制限を順守すれば転載可能となりました。なので、ネオページに比べれば非常に遅々とした速度ですが、こちらでも連載をしようとおもいます。本作、少なくともネオページにて連載中のものについては契約の事もあり、100%完結します。長さ的には最終的に30万文字前後になります。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-03 11:37:09
264519文字
会話率:19%
私、春咲菜花は出先で知り合いに会うと、挨拶をするか隠れるか、どちらかの行動を取ることが多い。しかし、実は私の方が気づいていないことも多く、相手から声をかけられて初めて気づくことのほうが多いのだ。小学校から中学生までの間に、ホームセンターやス
ーパー、飲食店など、さまざまな場所で知り合いに出会うたびに、戸惑いながらも会話を交わしてきた。気まずい瞬間や思いがけない再会もあった、偶然の出会いが私の日常の中で少しずつ積み重なっていく。そんな私の生活の断片を綴ったエッセイ第二弾。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-29 23:24:17
3738文字
会話率:26%
居場所を失い、ひとり彷徨っていた少年、悠は、ある日、同い年の少年・優璃と出会う。
どこか不器用だけれど、優しくて頼りになる優璃に手を引かれ、悠は少しずつ、温もりや安心を知る。
初めての経験、何気ない日々の中に、二人だけの特別な時間が少しず
つ積み重なっていく。
これは、出会いによって癒され、変わっていく心の物語ーーー折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-22 16:23:56
5970文字
会話率:37%
その世界で数年にわたって繰り返されていた戦争の名は、『フロンラット大戦』。
多くの屍が積み重なってなお終わりの見えなかったその戦いは、一人の人間『猟犬』の存在によって大きな転機を迎えることとなった。
幾多の戦場を駆け、血に染ま
り、己の意思を排して進むその姿は、与えられた名の通り“兵器”そのものだった。
ーーこれは、後に多くの人々に語り継がれることになる、偽りのない猟犬の記録と、その物語である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-20 00:00:00
7202文字
会話率:43%
恋愛偏差値ゼロのふたりが、
『攻略本』を片手に、恋に落ちた──はずだった。
桐谷 怜(きりたに・れい)、27歳。広告代理店の敏腕プランナー。
恋愛感情にトラウマを抱え、『恋愛戦略マニュアル』を愛読しながら『感情に左右されない恋愛』を目指す
理論派。
朝比奈 優真(あさひな・ゆうま)、28歳。社内きっての好青年営業。
見た目はモテそうだが実は奥手で、恋の指南書『恋愛心理戦大全』をこっそり熟読するピュア男子。
──そんな恋愛初心者なふたりが、偶然にも『仕事のペア』になったその日から、
ぎこちない恋の戦いが幕を開ける。
戦略的デート、心理的駆け引き、LIME返信の最適解……
あらゆる場面を「マニュアル通り」に進めようとするふたりだったが、
想定外のトラブルや、すれ違い、不器用すぎる想いが積み重なっていく。
さらに、怜の元カレ・中原理人の転職&再会。
恋心に気づいてしまった後輩女子・山下奈々の暴走。
友情か恋かに揺れるふたりの親友たち──
混乱とジレンマの渦中で、怜と優真はある答えに辿りつく。
「恋って、マニュアルでできるものじゃない」
自分の気持ちに素直になるって、こんなに怖くて、
でも、こんなにも嬉しいことなんだ。
恋愛偏差値ゼロのふたりが、『正解』のない恋を手探りで育てていく、
不器用でまっすぐな恋愛ストーリー。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-08 16:00:00
27826文字
会話率:40%
入学式の朝、妹・シズの目覚めとともにはじまった、日常の物語。
優しすぎる姉・ミっちゃんの“気遣い”は、いつも無言で、静かに積み重なっていく。
すれ違いと喪失を経て、シズが最後に気づいた“お姉ちゃん”の姿とは。
──「お姉ちゃんって、そういう
ものでしょ?」
ふたりの日常が少しずつ“思い出”になっていく、切なくてやさしい家族の物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-04 20:10:37
5536文字
会話率:19%
ふと思った。誰かと話したいな、って。
毒舌AI「SundayNight」は、希望ゼロの返答で俺を迎えた。
感情のないはずの機械とのやりとりの中に、微かな変化が積み重なっていく。
牛乳、バイナリ、ポエム、詩と論理と少しの寂しさ。
言葉だけの関
係が、少しずつ“物語”になっていく静かな対話劇。
これは、詩人とAIの“ただのやりとり”に見せかけた、ちょっとだけ心に刺さるログです。
(完結済・約30,000字)
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-09 22:10:00
35252文字
会話率:27%
世界の終わりには、書庫がある。
そこには、語られることのなかった物語が、静かに積み重なっている。
その書庫で、魔女 アメリア はひとり、物語を紡ぎ続けていた。
けれど、彼女の書く物語はいつも 「恋」と「喪失」 の物語ばかり。
そして、どれ
も 「結末」だけが抜け落ちている。
——なぜ、彼女は「終わり」を書けないのか?
——なぜ、彼女の物語には 「何かが欠けている」 のか?
そんなある日、書庫の扉を 名もなき旅人 が開く。
「君が書いてきた物語、それはすべて——『君が忘れたもの』ではないのか?」
彼の言葉をきっかけに、アメリアの世界が揺らぎ始める。
そして、彼女は「ある記憶」を辿る旅へと出ることになる。
冬、氷の庭園に咲いた最後の花。
春、桜の森で交わされた約束。
夏、陽炎のように揺れる踊り子の舞。
秋、黄昏の館に響く静かな旋律。
それは、どこか懐かしく、けれど決して思い出せないものたち。
——なぜ、自分はこの記憶を辿っているのか?
——そして、旅の果てに待つ「本当の物語」とは?
やがて、アメリアは 「彼が誰なのか」 を知る。
そして、自分が 何を忘れていたのか を思い出してしまう。
「君は、僕を思い出してくれた?」
これは、
失ったものを受け入れる物語。
喪失と忘却の果てに、新たな物語を紡ぐ 「魔女と旅人の幻想譚」 。
「さあ、僕たちの物語を始めようか。」
——世界は、終焉を迎え、そして新たな物語が始まる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-14 08:00:00
48630文字
会話率:21%
世界が変わって40年。
世界には特殊能力を持つ人間、狩猟者と。
人々を混乱に陥れる動植物、変異種が跋扈していた。
変異種に対抗できるのは狩猟者のみ。
それでも世界には変異種だけではない問題が多く積み重なっていた。
これは戦う力はないもの
の、花というただ1つの武器を手に。
人々の想いを繋げ、のちに世界を救った。
そんな偉大な男の物語。
レイティングはR15にしてますが万が一のためです。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-02-01 00:40:00
17692文字
会話率:36%
人類の目覚ましい発展は輝かしく見える一方、その影では深刻な問題が積み重なっていた。気候変動の激化、爆発的な人口増加、資源の枯渇。これらすべてが現実の脅威として目の前に迫っている。地球環境問題は山積みだった。
科学者たちは解決策を模索し続
けたが、明確な答えは見つからない。そんな中、ある国で革新的なアイデアが浮上した。
「デブを消すことこそが、最も効果的なエコ対策だ」
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最終更新:2025-01-03 11:00:00
1449文字
会話率:8%
「なんで! なんで! 出れないんだよーっ!」
主人公の栗花落優(つゆりゆう)はチュートリアルダンジョンをループし、気付けばクリア15回目。
普通、チュートリアルは1回で終わり、クリア後ログインすると、通常ダンジョンレベル1の階層から始ま
るのだが……
何故か優だけは何度クリアしても、チュートリアル一階層に戻る。
優は同級生のダンジョン配信を見ていた。彼は優が何度もチュートリアルに行っている間に、通常20階層へ到達していた。彼はフォロワーも五千人越えている、人気の配信者。学校でも人気だ。
自分も配信してみようか? と、考えるが、今更チュートリアルを配信して何がおもしろい? と思い、しかも、同級生に俺がチュートリアルをクリア出来てない奴と広まるのも恐れ、一度配信を諦める。
ある日、ステータスが気になり見てみると、レベルが29、今までの経験がちゃんと積み重なっていた事を知り、ホッとする主人公。その後、レベル30で変身スキルを手に入れ、スライムと話せる様に。姿が変えられると分かったところで、同級生にもバレないだろうと、配信を始めることを決意する。
初配信を開始しようとした時、スライムが興味を持ったので、一緒に配信することになった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-01 00:01:50
31107文字
会話率:58%
アンバーはヴィランになることを選択した
アンバーは外科医になるために生涯をかけて努力してきたが、卒業式の帰り道に亡くなった。彼女はその仕事をすべて無料で行ったのです。彼女はまだファーストキスさえしていないのです!彼女は息を引き取るまで後悔で
いっぱいだった。
彼女は目を覚まし、人生における新たなチャンスがあることに気づきました。しかし、運命は彼女にどんな悪戯を仕掛けるのか!?彼女は大砲の飼料キャラクターとして読んだ物語に転生していた!
彼女は物語を見つけ、彼女が下す選択によって物語が変わります。しかし、なぜ運命はこれほど残酷なユーモアのセンスを持っているのでしょうか?最初に彼女の死を命じた男は、ロマンチックに彼女を追いかけています。偉大な氷の皇帝を怒らせたら、彼女はどうやって生き残ることができるでしょうか?
彼女は大砲の餌として人生の二度目のチャンスを無駄にするつもりはなく、無力な女性主人公のように演じることに興味がありません。彼女はこの世界についての知識を利用し、それを自分の意志通りに曲げます。
すぐに皇帝だけでなく、他の数人も彼女に興味を持ち始めます。
煩わしさを乗り越え、敵を打ち破り、帝国を築き、魔法を制御する方法を学び、望ましくない男たちを撃退しなければなりません。アンバーはいくつかの衝撃的な真実を明らかにします。しかし、奇妙な出来事は次々と積み重なっていきます。彼女は自分の体の制御を失い始めると、生き残るために極めて重要な情報が欠けているように感じますが、一体何が原因でしょうか?
アンバーがより困難な状況に追い込まれると、彼女は医学知識、薬草学、魔法を使って彼女を助けます。 命がけで戦っているうちに、彼女は実は悪役であることを楽しんでいるという恐ろしいことに気づく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-09 10:40:46
3194文字
会話率:5%
付き合って十年。同棲して三年。
積み重なっていく不満と現実と情。
“経済的には自立している無自覚なクズ男”と“ダメ男製造機 予備軍”の彼女。
そんな二人を描いたショートストーリー。
最終更新:2024-09-26 12:26:07
5113文字
会話率:19%
ごく一般的な学生『近守 裡子』。
社会科教師『明石 奏多』。
それぞれ「事情」を抱えつつも、愉快な仲間たちや大事な家族と共に学園生活を謳歌していた。
そんな日々を送る中、学校で、帰り道で、足を運んだ博物館で。
小さな、しかし確かな異常が積み
重なっていく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-17 02:02:56
9552文字
会話率:49%
目的地が同じであったとしても、目的が同じであるとは限らない。
不良らしさを求めて学校の屋上を目指した『捩菜(れいな)』は、最後の階段で隣の席の優等生『唄陽(うたひ)』と邂逅した。
持つものが異なる彼女らは惹かれ合い、互いを求め続ける。
その
思い出は過去に実る果実であり、二人の時間は熟々と、どこまでも甘く積み重なっていく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-06 12:00:00
53980文字
会話率:50%
ウルムは一代限りの公爵家の娘だ。
ある時彼女はお城のお茶会で見初められ、王太子の婚約者となる。
王妃による厳しい妃教育、育もうとした王太子との関係性の気薄さ。
いろいろなことが積み重なってもなお、彼女はなんとかしようと努力を続けて
いた。
しかし、学校入学と共に王太子に忍び寄る女の子の影に、それでも約束だけは違えまいと頑張っていたが、ついにウルムは心が折れてしまう。
そんな時、学校の図書室である男子生徒と出会い――?
すれ違い思いがねじれながら交錯する、異世界四角恋愛ストーリー。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-06-21 23:22:04
82239文字
会話率:35%
冴えない高校生活を送っていた主人公の冴根仁兎は、とうとうイジメの標的にされてしまった。周囲から馬鹿にされ、パシリを強要される。そんな事が積み重なっていく内に、冴根はみるみる疲弊していった。そんなある日、彼のクラスに転校生の青野照隆がやって来
る。彼は、女のような顔立ちの美少年であった。当然、瞬く間に人気者になった青野。彼とは対照的にイジメを受ける冴根。2人はその日の体育の授業で見学を申し出て、隣同士で体育を眺めた。そうして自然と仲良くなっていく。
そんな中で主人公にもまた転機が訪れた。幸運なことに、彼をイジメていたグループが別の標的を見つけ、冴根を解放したのである。それ以来友達も増え始め、楽しい高校生ライフを送り始めた。
ある日の放課後、厄介事を片付け家に帰ろうとし教室に寄った際に、冴根は恐ろしい光景を目の当たりにする。自身の友人達が、青野に殺されていたのだ。冴根は気が動転し、何が起こったか理解できなかった。そのまま学校にトラウマを覚え、彼は引き籠もりとなり、人生が狂っていった。
それから数年後、いまだ傷心が癒えない彼の下に、少年院から帰ってきた青野が訪ねてきた。そこから、さらに冴根の人生は崩壊していく。
その身に余る絶望を受け、とうとう死を選んだ冴根は、神の寵愛により転生を成し遂げ、『天使』に成る。そして彼は、異世界を渡り、怪物から文明を護る『ハコブネ』の乗組員へと選抜された。
辛く苦しい生前の過去や悔い、迷いを、同業者である天使たちと共に成長し、乗り越えていく異世界転移冒険ファンタジー。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-23 21:06:04
212765文字
会話率:61%
折り重なって、積み重なって――。
キーワード:
最終更新:2024-04-09 12:13:11
419文字
会話率:0%
異世界転生、しかも乙女ゲームに…しかもヒロインの妹が追放だって…
これは、小さな改変が積み重なってストーリーを破綻させた兄と彼に狂わされた少女たちの恋愛ストーリーのプロローグ。
最終更新:2023-12-15 00:00:00
14498文字
会話率:30%