今は昔。美濃国、国司の娘に、菫野といふ幼き姫ありけり。
野に在りて、罠にかかりし狐を助けたまふ。狐、姫の優しき心に感じ入り、その恩義に報いんと、妖しの技を持って、姫に強力を授けん。
――それから数年後。
かつて菫野の母がお仕えして
いた桐壺更衣。その更衣の遺児である女二の宮、桜花内親王にお仕えしてみないかという誘いが菫野にかかる。
女二の宮は、十四歳。同母の兄、安積親王と仲良く暮らしておられるが、やはり母を恋しがっておられるとのこと。
年の近い菫野なら、姉のように接することでお慰めできるのではないか――という期待。
「絶対、ぜったいに、何があっても強力のこと、知られてはなりませんよ」
そう、母に強く念を圧されたのに。
「あなたも、十六。素敵な公達に見初められて、幸せな人生を掴み取るのです!」
なんて言われてきたのに。そのために、豪華な衣装を用意してもらったのに。
初出仕の日。「心配だから」とついてきた、狐の狐太を追いかけて木に登ってしまった宮の愛猫。それを助けるためにウッカリ強力を披露してしまい?
その上、イケメン安積親王にバッチリ見られて、笑われて?
内裏で働く女房として、美しい絵巻物のような世界で、ときめく物語のような恋をくり広げるはずだったのに! もしかしたら、素敵な公達が付け文なんか贈ってよこしてくれるかもって期待してたのに!
初っ端から、期待も希望もベッキリ圧し折られた菫野。
こんな強力女房、誰が好きになってくれるっていうのよ。
「まあまあ、ドンマイ、ドンマイ」
次があるさと、孤太が心のこもらない慰めをくれるけど。
わたしは、ここで幸せな恋をしたいの! こんな強力なんていらないのよ!
華やかな宮中でくり広げられる、平安「剛力」恋愛物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-18 17:00:00
72390文字
会話率:34%
桐壺帝の御世、春宮(皇太子)である朱雀は深い悩みを抱えていた。母である弘徽殿女御の陰湿な苛めにより、桐壺更衣が体調を崩して亡くなってしまったのだ。母の行いへの責任を強く感じる朱雀は、桐壺更衣の息子である光る君に謝罪しようと決心する。そして
自分は出家して更衣の菩提を弔い、春宮には光る君になってもらおうと思うのだった。
過程は違っても結果は同じ……なのか? 朱雀視点から兄弟の日常を見守る平安物語。
原典:岩波文庫 山岸徳平校注『源氏物語』(一)~(四)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-12-24 17:00:00
179703文字
会話率:58%
目覚めたら、赤ん坊になっちゃた。しかも、源氏物語の世界。
そこで僕はマザコンでシスコンでロリコンの稀代のスケコマシ野郎になってた!
こうなったらフラグを折りまくって幸せをつかんで見せる。
一に桐壺更衣を死なせない(藤壺女御が入内しない、不倫
も不義の子も起きない)
二に朱雀帝の兄に気に入られる(でも女三の宮はいりません)
三に弘徽殿女御に媚びを売る(島流し回避)
四に葵の上と結婚しない(死なせない)
以上。
これだけで、僕は楽な人生が待ってる!
でも、何かがおかしくて???
桐壺更衣が病回復したせいで桐壺帝が仕事をしなくなっちゃた!
何でか藤壺女御が入内してきた!
しかも懐妊している!? 誰の子なの?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-04-24 18:00:00
7454文字
会話率:6%
源氏物語が生まれて約1000年後の日本で源氏物語オタクの姉と仲が良かった長谷部小夜子は、気がついたとき源氏物語の桐壺帝と桐壺更衣の間にできた子供になってしまっていた。つまり、源氏物語に転生してしまったのだ。しかし、小夜子がその事に気づいたの
は父である桐壺更衣が亡くなったときだった!?
源氏物語男女逆転バージョンで光源氏として生まれた小夜子の話。
※思い付きでかいたので長編の一話に、結末を付け足したみたいな感じになってます。いつか、暇になったら続き書こうかと折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-05-08 23:15:53
5522文字
会話率:19%
亡き父の意志により、帝の一番身分の低い妃となった桐壺更衣。心細い日々を過ごす少女の拠り所は、数日前に見つけた一匹の小さな白猫だった――。光源氏の母・桐壺と桐壺帝の出逢いを描いた『源氏物語』創作。
最終更新:2013-06-30 00:57:04
9039文字
会話率:25%
行過ぎた寵愛の意味するものとは。
最終更新:2010-05-24 23:44:41
495文字
会話率:0%