「エスメラルダ、ただ今をもって、君との婚約を破棄する!」
「…………は?」
あまりにも仕事が忙しく9徹の真っ最中だった私は、オフィスで倒れてしまった。
が、気が付くと私の目の前には、妙にキラキラした金髪のイケメンが、ドヤ顔で立っていた
。
こ、こいつは……!
辺りを見渡すと、これまたキラキラした貴族風の男女に囲まれたキラキラ空間。
そして頭に伸し掛かる、ズッシリとした重み。
ふと触れると、そこにはケバブかよってくらいぶっとい、金髪縦ロールが。
――間違いない。
ここは私がやり込んでいた乙女ゲー、『あなたに捧げる悠久の唄』――通称『あな悠』の世界だわ!
私はあな悠の悪役令嬢である、エスメラルダになっているらしい。
――なるほど、さてはこれは夢ね!
流石に9徹が響いた私は、遂に寝落ちしてしまったに違いないわ。
ううむ、寄る年波には勝てないものね。
「オイ! 何とか言ったらどうなんだ、エスメラルダ!?」
「え? ああ、はいはい」
エスメラルダの婚約者である、王太子のヘルマンがギャンギャン喚いている。
ヘルマンは所謂メイン攻略対象キャラなので顔はいいのだが、如何せん性格がガキすぎて私の好みじゃないんだよなー。
――まあいいや。
ここが夢の中なら、またとないチャンス。
仕事で溜まった鬱憤を、存分に晴らさせてもらおうじゃないの!
「覚悟しろよエスメラルダ! 僕は絶対に貴様を――」
「セーーーイ!!!」
「ぶべらっ!?」
私はヘルマンの頬に、渾身のビンタを喰らわせてやった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-10 21:03:17
2988文字
会話率:30%
「でね、その従姉妹の家で飼ってる猫ちゃんが、凄く警戒心が強くてなかなか私に懐いてくれないんだけど、おやつをあげた時だけはすぐ近寄って来て、夢中で食べてくれるのが、超可愛いの!」
「……そうか」
とある放課後の教室。
そこで俺はいつもの
ように、隣の席の朝比奈と二人で、世間話に興じていた。
……嗚呼、今日も朝比奈は可愛い。
小動物を彷彿とさせる、小柄な身体とくせっ毛の髪。
いつもニコニコ笑っている、太陽みたいな明るい性格。
朝比奈は元来口下手でコミュ障な俺に、唯一優しく話し掛けてくれた、天使のような存在だった。
そんな俺が朝比奈に分不相応な恋心を抱いてしまったのは、言わば必然だったのだと思う。
「……あー、ごめんね田村くん、また私ばっか喋っちゃって」
「……いや」
そんな、気にしないでくれよ朝比奈。
俺は朝比奈が楽しそうに話しているのを見てるだけで、赤スパを投げたいくらい心が満たされてるんだから……。
「私なんかと喋ってても、田村くんは楽しくないよね……」
「――!?」
朝比奈!?
いつも笑顔を絶やさない朝比奈が、目に見えてしょぼんとしてしまった。
嗚呼、違うんだ朝比奈ッ!
俺はただ口下手なだけで、楽しくないから話さないわけではないんだッ!
「あっ、もうこんな時間。私、家の手伝いしなきゃいけないから、先帰るね。またね、田村くん」
「……あ、あぁ」
何か言わなきゃという焦燥感に駆られたものの、結局喉から言葉は出ないまま、寂しそうに一人帰って行く朝比奈の背中を、俺はただぼんやりと眺めていた――。
「……はぁ」
その後俺は、藁にも縋る思いで、隣町にある占いの館で俺と朝比奈の相性を占ってもらうことにした。
「す、すいません」
勇気を出して仰々しい扉を開けると、店内は間接照明でいかにもオカルティックな空気を演出していた。
「あっ、いらっしゃいま……せッ!?」
「?」
狭い店内の中心に座っていた占い師風の人物が、俺の顔を見るなり、露骨に狼狽えた素振りを見せた。
占い師さんは顔を物々しい仮面で隠しており、声もボイスチェンジャーで加工しているので性別すら不明だが、体格的におそらく女性だろうと思われた。
「あのー、俺の顔に何かついてますか?」
「い、いえいえいえいえいえ! 何でもありません! ど、どうぞお掛けください!」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-03 21:01:40
6678文字
会話率:54%
「映画凄い面白かったですね!」
「え?」
映画館で偶然隣の席になった、二十代中盤くらいの同年代の美女から声を掛けられた俺。
これをキッカケに俺と美女は仲良くなり、毎週末一緒に映画を観に行くような間柄になった。
彼女の名前は三奈戸伊織
さんといった。
三奈戸さんは見た目の割に子どもっぽい一面もあり、そのギャップに俺の心は惹かれていった――。
そんなある日。
どうやって三奈戸さんに告白しようか悩みながら、会社帰りに一人で裏路地を歩いていると――。
「あっ、脇田さん!」
「っ!」
後ろから不意に、声を掛けられた。
こ、この声は――!
「あっ、三奈戸さ、ん……?」
振り返ると案の定、そこにいたのは三奈戸さんだった。
だが、三奈戸さんの格好を見た俺は、その場で完全にフリーズした。
――三奈戸さんは、高校の制服を着ていたのである。
な、なにィイイイイイイ!?!?!?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-19 21:01:54
5558文字
会話率:45%
異世界【エイレイル】には、創造主より人類の『試練』として【魔王】の責務を与えられた存在がいた。
人類の障害となり、彼らの一致団結を促し、倒される。そうすることで人類を高みへ導く……それが魔王に与えられた使命。神の思し召。
さらに創造主は人
類に異世界から召喚した【勇者】も与えた。
人類の魔王討伐を導く旗手として。
しかし、人類は魔王を倒そうとはしなかった。
彼らは創造主が思っていたよりも賢かったからだ。
人類は魔王が存在する限り尽きることのない魔物たちを『資源』として活用していたからだ。
故に魔王を討伐することなどあってはならないことだった。
そのために彼らは魔王の存在を【豊穣の神】と崇めた。
魔王を唯一神に据える宗教を作り、広め、その存在をほぼ全ての人類から隠匿したのだ。
そして、実質的に世界を牛耳る存在たちは、魔王の存在を守るために『勇者狩り』も行い始めた。
魔王はその様子を指を咥えて見るしかなかった。
そして、自身が創造主より崇高な使命を授かったにもかかわらず、ただ利用されるだけの存在に成り下がった状況に、だんだんとやさぐれていった。
そして、心が荒みに荒みきった頃、魔王は創造主に頼み、最後の勇者を自らの傍らに喚んでもらった。
最高の力《ステータス》と、最高の能力《スキル》と、最高の武器《魔王殺し》を与えて。
全てを、終わりにするために。
しかし、魔王が喚んだ勇者様は幸か不幸か、とんでもなく『ひねくれ者』だった。
「君の願いを叶えてあげる。だけど、それは僕がこの世界を十分に満喫した後で、ね」
これは、ひねくれてる勇者様がやさぐれた魔王様と歩む、自由気ままなセカンドライフ的な物語である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-06-16 20:41:50
25852文字
会話率:30%
目が覚めたら目の前に美少女が!
唐突に異世界の聖女ちゃんとワンルームアパートで同居生活をすることになりました。
聖女ちゃん!ちゃんと前隠して!
聖女ちゃん!自動車はモンスターではありません!
現代社会を知らない、可愛い聖女ちゃ
んと送る日常生活を描くちょっとむふふーな日常系ラブコメディ!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-11-06 23:24:39
103512文字
会話率:45%
異世界召喚はソシャゲだった?
ある日唐突に異世界召喚された少年。だが、異世界召喚って珍しいものじゃないらしい。たくさんいる神が、たくさんある世界からガチャ感覚で人を召喚してるとかなんとか。
そして彼、蓮太郎が召喚された世界『アルーカ』
では――活躍しないと即合成素材行き!?
うっかりガチャられてしまった主人公は、脳筋美女エルフ・ツンデレオッサンドワーフ・変態イケメン錬金術師と共に、駄女神の合成から逃れるべく奮闘する!
果たして彼は無事生き延びることができるのか?
※同名の短編を連載化したものになります。
※BL・GLは保険的に付けました。ネタ的に少し入ってくる程度です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-12-21 00:01:01
214979文字
会話率:33%
異世界召喚はソシャゲだった?
ある日唐突に異世界召喚された少年。だが、異世界召喚って珍しいものじゃないらしい。たくさんいる神が、たくさんある世界からガチャ感覚で人を召喚してるとかなんとか。
そして彼、蓮太郎が召喚された世界では――活躍
しないと即合成素材行き!?
うっかりガチャられてしまった主人公は、果たして無事生き延びることができるのか?
あ、コメディです。
※MBSラジオドラマ大賞2018に応募するための再投稿となります。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-10-24 23:01:11
17617文字
会話率:35%
営業主任・小野寺正志25歳。
ある日、部下の倉田と石川県へ出張中に異世界に迷い込んでしまった。
ひょんな事からチート能力を手に入れたものの全く活用出来ず、見知らぬ土地に愕然としながらも、力いっぱい営業活動を繰り広げていく2人。
ご都合主義満
載なコメディー展開中心で送る熱血主任とオタクな部下との掛け合いストーリー。
※お笑いノリの小ネタ中心ですが主人公最強・萌え要素は恐らく含まれておりませんのでご注意ください折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-06-13 05:11:22
78613文字
会話率:63%