「残念ですが今回は不合格です。次の試験は7日後になりますので、また改めていらしてください」
カウンター越しから、眼鏡の青年がその顔つきに違わぬ柔和な口調で、それとは裏腹の厳しい事実を僕に突きつけた。
「えー…」
思わずため息とも抗議と
もつかない、ただ残念を訴える声が口から漏れてしまった。
『”登塔者”認定試験』 。僕がこの街”トリトラ”に来た目的のための、はじめの一歩目だ。
でも、その一歩目で早速躓いてしまったのは、ちょっと…想定外…。
「まぁ、そう落ち込まないでください。この試験に一発合格するなんて、年に一人いるかどうかなんですから」
「はは、凡人なりに、一発で合格しようと頑張ったつもりでしたからねー。やっぱりちょっとショックです」
励ましともなんともつかない受け答えに対して、試験の費用だってそう安い金額ではないことも思い出してしまい、少しばかりヤケ気味に返事をしてしまった。
「確かに、ベーレンズさんは初めての試験にしては筆記の成績はかなり良かったですから、相当頑張って勉強なさってきたんだとわかりましたよ」
これはちょっと嬉しい。ささやかなお褒めの言葉に、少しにやける。
「ただ実技試験が今回得点不足でしたね、身体能力は足りてますが、食用獣の解体や武具の分解・修理、あとは模擬戦闘もあと一歩ですね…」
納得せざるを得ない指摘に、真顔になる。
だって、獣の肉を捌くなんて今まで自分でやったことがなかったし、武具も壊れたら新しいのを買ってもらっていたから、直したことなんてなかったし、しょうがない。
それよりも、小さい頃から真面目に打ち込んできた剣術も通用しなかったことが悔しかった。
「この試験に合格点を差し上げられない方を、塔に登らせるわけにはいかないんですよ」
頑然と言い切られる。仕方がない。
この試験を突破できないということは、”塔”に挑んだところですぐに野垂れ死ぬのが関の山ということなのだ。
「そんな落ち込まないでください…。また受験してください、何度でも大丈夫ですから。」
わかりました、ありがとうございます。
と力なく返事をして、僕はギルド会館を後にした。
「…これからどうしようかなあ…」
これは、天を貫く高い高い巨大な塔と、そこに挑む”登塔者”たちと、それらを擁する街がある島の、なんてことはない日々の話。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2017-08-31 09:00:00
279文字
会話率:0%
柊清路、15歳、中3。私立の中高一貫校の生徒で、とにかく宿題を持ってこない以外に特徴のない人生を送ってきた。
彼の趣味は多岐にわたっていた。漫画、ラノベ、小説、卓球、サッカー、輪ゴム鉄砲作りに将棋と。しかしどれも趣味の領域を出ず、打ち込
むには至っていなかった。
そんな彼の日常は突如崩壊した。異世界に飛ばされ、自分の能力を知り、使って異世界を大いに暴れまわる日々。
異世界における、とある分解者のものがたり。
アルファポリスと同時投稿していきます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-08-14 00:00:00
4693文字
会話率:61%
冒険者ノアは、おもむろに味噌汁の入った器をオーバースローで振りかぶって、床に投げ捨てた。
「貴様……味噌を煮立てたな?」
「へ?」
「味噌の臭いの大半は……アルコールの香りで構成されている。90度を超える熱はアルコールを分解させ、その甘美
な香りを失わせる。そのため煮立つ寸前で火を止め、弱火に変えることで風味を留める。……これは味噌汁の基本だ。貴様の味噌汁は児戯に等しい!」
「じ……児戯……」
膝から崩れ落ちる美しい店員。冒険者ノアは彼女に唾を吐き、店を後にした。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-08-06 13:44:15
2526文字
会話率:29%
森見 秋人(もりみ あきと)。特筆すべき特技、趣味、血筋は一切持たないしがない男子学生の彼は、地味にクラス人気の高い女子・桜井 霖(さくらい りん)にある日突然呼び出され、謎の文言が連ねられた三枚の紙を手渡された。
この文章の意味は?そもそ
も何故こんな疑問を?そして何故自分に尋ねるのか?
同じくクラスメイトの友人・宮田 俊(みやた しゅん)と、バイト先の後輩女子・朝霧 舞幌(あさぎり まほろ)と一緒に考えながら、彼女の疑問によってもたらされた疑問を解消していく。
現代に蔓延る虚無思考を分解するはずだったハートフルラブコメディとかそんな感じのなり損ね。
現実は得てしてこんなものだ(白目)。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-06-12 21:28:26
39016文字
会話率:64%
草食系睡眠男子たる高校生・赤石赤司は睡眠中に分解されてしまった。異世界の危機を救うため、英雄として派遣されるために。神の領域にてそんな説明を受けていると、世界の危機が向こうの神様の勘違いだと発覚する。元の世界に戻ろうにも存在の痕跡はすでに消
去済み。仕方なく交流名目にて異世界へ向かうことになる。お詫び名目で神様からもらったのは睡眠を邪魔されない能力。案内役兼監視役の天使に元世界の知識を搾取されながら、いざ冒険の旅へ――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-05-07 21:01:01
649105文字
会話率:39%
出勤したら普通の住宅街だったのに、いつの間にか緑がいっぱいの戦国時代に店舗ごとトリップしたみたいです。
「馬は外に繋いで下さい」
「ここでは皆さん仲良くしてください」
「武器の使用は止めて下さい!」
「忍者の皆さんは天井に張り付かな
いで下さい!」
「機材は分解しないで下さい」
この話は、カラオケ店員と戦国時代を生き抜いた人々によるツッコミ所が多いお話です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-02-19 18:07:16
483文字
会話率:34%
案外家族でそんな小さなことで不安になったりするけど、不思議とすぐ繋がっちゃう。
そんな風に思えていただけたら嬉しいです。
最終更新:2017-01-17 00:05:19
2427文字
会話率:48%
「君は何が欲しい?」
「そうね、強いて言えば"愛"かしら」
「そっか。普通だね。まぁ、頑張ってよ」
「ちょっと、あなた何様?偉そうなこと言うなら、あなたは相当素晴らしい答えをしてくれるのでしょうね」
「……そうだね。申し
訳ないけど、まだ探している途中なんだよ」
「何それ?それこそ普通じゃない。そんなデカイ体して子供気分?」
「君こそ子供じゃないか。それにしても強気だね。そんな状態でよく凄めるものだ」
「じゃあ助けてくれないかしら。そろそろ腕が痺れてきたわ」
「確かにその手錠を外すのは吝かではないけれど、なんだかねぇ」
「……何か要求があるの?」
「例えば、話し相手として二人で一緒に旅をしてくれたら助けてあげようかな」
「えっと……」
「さっき言った通り、色々探してる旅の途中なんだ。その旅路も一人じゃちょっと淋しから話し相手になってくれない?」
「あなた新種の変態なの?」
「質問を質問で返さないでよ。さぁ、答えて。来るか、来ないか」
「……分かったわ。付いて行くから助けて頂戴。ここで死ぬよりマシよ」
「りょーかい」
そう言うと、長身の人間は少女の両手を拘束する手錠を"分解"した。
「さ、行こうか」
人間は少女の手を引いてその場を後にする。
「質問があるんだけど」
「何かしら?」
「名前は?」
「シルよ。あなたは?」
「ナルって呼んで」
「ナル、ね。ねえ、私も質問があるのだけど」
「ひとつだけね」
「あなたって……男の人?女の人?」
「さがしちゅう」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-01-04 23:37:36
4466文字
会話率:65%
謎の者???によって主人公は0と1に分解されて消されてしまった。
というバッドエンド確定の始まりをしました。
佐伯 誠治君は自分の作品全てで共通して出てくるある組織の者を発見しました。
誠治君は残り三日の夏休みを無事に過ごせるのか!?
誠治
:「俺は絶対に生きて9/1学校に行く!」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-01-04 00:00:00
28686文字
会話率:64%
”悪役”ーーその冠を被せられるほど、内面の白くない部分を露呈させてはいないのだが。
悲劇の主人公とその運命の相手。ことごとく邪魔をする婚約者。醜い嫉妬の末のすったもんだ。得てして大団円はざまあみろで飾られるーーそういったものは、男二人と女一
人でやらかすものだったか。お笑い種にもならない。というか、俺は一刻も早く執務室に向かいたいのだが。仕事をさせろ。婚約なら何百回でも勝手に破棄してくれろ。ドブに捨て置け。回収はしない。微生物に分解してもらえ。
上で述べたものを数千倍濁らせたといった具合の内心をひた隠しにして笑っているのだから、悪役だなんて呼ばれる筋合いは皆無であろう。よろしいか。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-11-06 21:07:38
4229文字
会話率:43%
唯一の家族だった祖父の死から間もなく、少女・黒葛原宵待に黒い影が付きまとうようになる。
宵待の周囲で少女行方不明事件が騒がれ始めた頃、見知らぬ青年が現れた。
気を付けるように忠告してくれた彼を、友人は警戒して信じないように厳しく言う。
宵待を脅かすモノと、救うモノとは――。
一人ぼっちになった少女の顛末。
※同タイトルの短編の連載版です。短編を分解して、序章・第一章・第三章の一部に宛てています。
序章と第一章は変更している部分もありますが、短編とほぼ同じです。
(R15は念のため設定しておきます)
※16/10/18完結しました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-10-18 20:00:00
223661文字
会話率:51%
犯罪都市と悪名高いオータム・シティ。
治安局101分署に、若きオフィサー、ギア・ロック捜査官が赴任する。
犯罪者どもを叩き潰してやるぜ! と意気込むギアだが、チームの仲間は変人ばかり。犯罪者と戦う前から空中分解寸前だ。
しかも、バデ
ィを組まされることになった相手は――折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-10-16 16:42:23
133803文字
会話率:35%
黒。
ドラゴンの目で黒は見えないといわれている。ドラゴンには純粋な黒、要は漆黒の色しか黒はないそうだ。
なぜなら黒はたくさんの色が混ざってできているから。
分解すればすべて明るい色になる。
だから俺は濃い黒になりたい。
たくさんの色を混ぜて
、自分だけの黒を作り上げたい。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-08-07 21:38:23
1241文字
会話率:24%
生きて生きて生き抜いて、ゆっくり休んでもういっかい。
最終更新:2016-08-05 20:00:00
21235文字
会話率:75%
国は崩壊し、政界は空中分解、王族は皆処刑台へ送られる、そんな世の中。
あまりに突然訪れた法も秩序も無い世界で、混乱の中少年二人は再び出逢う。
偶然か、必然か。そんなことを考える余裕なんてない。
今日も二人は混乱を生きる。
そんな物語。
最終更新:2016-04-27 21:36:13
898文字
会話率:15%
ダルマ少女と、分解少年。
意外と、相性いいと思います。
最終更新:2016-03-20 12:00:00
2462文字
会話率:29%
地球で今から160年前に起こった大戦。
1週間戦争とも呼ばれる大戦。
余りにも早く、余りにも無惨な人類史上最悪の戦争だった。
たった1週間で人類の3分の1が消え、生き残った人々は大戦の置き土産である核の冬に晒される。
作物は育たなくなり
世界的飢饉、異常気象、オゾン層破壊による有害な紫外線、放射能によるDNAへの汚染。またそれらが起こす病の数々。
人類は最悪の事態を防ぐ為に地底や深海に居住区を作り出す。
既にその時には総人口の2分の1は死滅し、早期に地下に潜った人類以外はその殆どが病を発症していた。
治療が可能な病や比較的な健康体だけを移住させる計画が始まったのが155年前。
160年経った今も、浄化できた土地は少なく、地下、深海に大半の人類は身を置いていた。
緑は消えた。大戦前に数多く存在していた生物は消えた。
失った物は大きく、得たものはなにも無い。
哀れに思ったのは神か、将又悪魔か。
今から40年前に地上に【ゲート】と呼ばれる異世界の扉が現れる。
だが、人類には【ゲート】を通る事は出来ない。
何故なら通ろうする生物を細胞単位で分解してしまうからである。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-03-12 18:56:10
38244文字
会話率:21%
支離滅裂な文章――それは銀河帝国による人類滅亡を告げていた。さまざまな状況に振り回される主人公。遂に世界が終わり、現実世界へとトリップした主人公が生まれた。
実はそれらはすべて、小説自動生成botによる呟きだった。
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第3回日経「星新一賞」の落選作です。
人工知能(っていうか人工無能)で作った作品です。解説まで込みで応募しています。
ウィリアム・バロウズのカットアップ技法をコンピュータの力を借りて使っています。
作品は以下の手順で作りました。
(1)文章生成ツール=楠樹曖(くすのきあい)を作成
入力した文章を形態素解析エンジンMeCabを使用して形態素に分解し、マルコフ連鎖により形態素を繋げて文を作ります。
オーム社『はじめてのAIプログラミング』を参考にC#で作成しました。
実行環境はWindowsです。
2011年に楠樹曖(くすのきあい)を利用したTwitterのbot=楠樹曖botの運用を開始しています。
https://twitter.com/kusunokiai
文章生成ツールで作成した文章を呟きます。
入力文章は楠樹暖(くすのきだん)がTwitter小説として書いた掌編小説を使用しています。
http://twilog.org/kusunokidan/search?word=%23twnovel&ao=a
2014年に楠樹暖(くすのきだん)がTwitter小説として書いた掌編小説が1001編に到達し、入力文章も1001編の掌編小説となりました。
(2)楠樹暖(くすのきだん)の1001編の掌編小説を入力として、文章生成ツールで文章を出力
(3)出力させた文章を、句点までを一文とした文単位に分けて使用する文/しない文に選別
(4)選択した文を意味が似通う文の近くに移動させて作品を編集
人間の手で行っているのは、(1)(3)(4)です。すべて一人で行っています。
コンピュータで行ったのは(2)です。作品中の文章自体はすべて文章生成ツール=楠樹曖(くすのきあい)を通って出力されたものです。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-03-12 12:05:22
3997文字
会話率:0%
※軽い感じのアンドロイドもの、未来の話ではない
ある時、一つの設計図と動画がネット上にあがった
それはアンドロイドの設計図と、アンドロイドがアンドロイドを分解していくという動画だった。通称「祖体(そたい)設計図」
「祖体設計図」発見より
4年後、この国は「祖体設計図」を完全再現したという アンドロイド「ゼロゼロ」を発表した。ただその性能は皆が期待するほどのものではなかった
通称「ゼロゼロ」はその後「劣化祖体」と呼ばれ、現在一千万程度で市販されているアンドロイドは、企業が作った「劣化祖体」ゼロゼロと同程度の性能しかない量産機である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-03-04 19:18:25
55973文字
会話率:63%
望月勇士は六大魔王のうちの一人で、能力者である
同じクラスの天道みつるぎは望月勇士が能力者であることを知っていて…。
ハイパー能力バトルが今…始まる。
能力者バトルの新境地がここにありっ!
最終更新:2016-02-14 14:01:08
2357文字
会話率:60%