霧がかった五月の夜。
窓辺にあるソファーに座って、朧月をぼんやりと眺めていた。
何故か無性に悲しくて、まだ当分眠れそうにない。
ふと、窓に映る自分自身を見て、ため息が出る。
黄緑色の髪が僅かに顔を覆って、髪の隙間から覗く翡翠色の瞳
は焦点が合っておらず、覇気がない。
紅茶でも飲んで気分を落ち着けようと、ローテーブルに視線を移した。
「!?」
突然、ソファーの背凭れ越しから、何者かに抱き着かれた……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-04 00:20:24
115437文字
会話率:35%
対人関係は苦手だ。いや、嫌うに悪と書いて嫌悪と表現した方が適切かもしれない。
そしてこの苗字も同様だ。初対面の他人に、思ったよりも暗いと必ず揶揄される。
いつになったらこんな日々から解放されるのだろう。分からないままに、漠然と生きている
。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-04-29 03:11:18
1888文字
会話率:46%
父親から受け継いだ会社を倒産させてしまった一ノ瀬樹(たつき)は、妻子と別れて不法な債権取り立て屋から逃げ隠れしていた。
知り合いを頼り四ヶ月、なんとかしてもう一度妻と子供と暮らせるように、と気合を入れ直した夜の児童公園で、樹は不幸にもベンチ
の背凭れの不具合で転倒、頭をコンクリートブロックに打ち付け昏倒してしまう。
気が付いた樹がいた場所は、緑の芝生も豊かな、立派な神殿の中庭。そこでいきなり樹は、勇者かどうかの過酷な判定を受けることに。
これは、もう一度家族と暮らす夢を断たれ、勇者として異世界へ転生した若返りおっさんの、やけくそバトル物語です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-02-16 00:06:04
144354文字
会話率:31%