「もう我慢できない! あんたなんて、出ておいき!」
「なんだい、なんだい。後から入ってきた女が、息巻いてみっともないよ。ちょっとは我慢も覚えな」
「出てけー!!!」
あらら、追い出されちまったよ。
わたしの母さんが死んで、す
ぐ家に入って来た女、モアールの性格が悪いのなんの。顔は可愛いし声も高いけれど、化粧はケバいし香水付けすぎだ。くしゃみが出るよ。
まあ女らしい体つきは、大抵の男が喜びそうだけどね。
父さんが居ない間に出かけては、服やら宝石やらを買ってくるし、時々一緒に連れてきた従者? とよろしくやってるし酷いんだよ。
まあそれなら、100歩譲ってギリギリ我慢もできる(父さんの目利きが失敗しただけだ)が、使用人に手を出されたら無理さね。だから言ってやったんだよ。
ちょっとは我慢しなと。
ここは、お貴族様の屋敷じゃないんだよと。
そう言ったら、キレやがったんだよ。
ずいぶんと辛抱が足りないよ、大人なのに。
父さんが貿易に行っていない間に追い出されたわたしは、ここの商家の娘でレノアさ。まだまだピチピチの5才だ。
使用人達が慌ててついて来ようとしたが、悪いけども戻って貰ったんだ。だって今のわたしには金がないからね。給金が出せないんだよ。
みんな家族がいて、生活しなきゃならないしね。
と言うことで、一人で家を出たのさ。
キレるとどこかの喧嘩師のように、何かが乗り移ったように口汚く叫ぶレノア。その時のことをレノアは、よく覚えていない。ただ猛烈に怒ったと言う以外は。
◇◇◇
「うーっ、うーっ」
テクテク歩いて行くと、森の入り口で大きな灰色の犬が苦しげに唸って踞っているから、手持ちの薬を振りかけたんだよ。
そうしたら途端に元気になって、わたしの後をついてきた。
「わん、わんっ」
わたしの周りを元気にクルクルとまわっている。
「悪いけど、餌なんてないんだよ」
そう言うんだが、言葉の壁が邪魔をして通じない。
はーっ、はーっ言ってついてくる。
まあ、腹が減れば行っちまうだろう。
こうして1人と1匹旅が始まったんだ。
という感じで始まった、レノアの小さな冒険です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-30 21:58:26
18142文字
会話率:34%
どこか腑に落ちない、と首を傾げるように地面に立ち並ぶ木の杭。それらを結ぶ鉄線が背の高い茶色の雑草がひしめく平原とひび割れた道路を区切っている。
と、そこから一匹の灰色の犬が出てきた。耳と頬が垂れ下がり、道路をヒョコヒョコと歩いているが、
足を怪我しているわけではない。ただそうしたほうが同情を買えると思っていただけ。そして、それは正しかった。
今、一台のトラックが停まり、犬は開いたドアから助手席に乗り込んだ。吹いた風は雑草をさざめかせ、まるで映画のエンドロール。遠ざかるトラックの背に拍手を送っているかのようだった。
確かに、物語はこれで終わりだ。だが、それでは何の事かまるでわからない。ゆえに遡るべきである。彼らのためにも。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-04-27 11:00:00
4540文字
会話率:40%
凄腕(自称)エージェントの「俺」はつまらない日々を送っている。彼は灰色の犬バーナードと暮らしているが、飼い犬に好かれているかはわからない。ある夜、家でくつろいでいた二人の元へ客が来た。この作品はPixivにも掲載しています。
最終更新:2023-01-11 20:00:00
6142文字
会話率:42%
優しい優しい少女は、お婆さんの家までパンと葡萄酒を運びに行きます。
優しい優しい少女は優しいです。きっと、目の前に困っている人が居たら助けてしまうでしょう。
……何が優しいのか言いませんが。
最終更新:2020-06-03 17:09:38
1896文字
会話率:36%
世界一の魚好きをかけたギョギョvsDIGYOの戦いが今始まる!
最終更新:2016-01-15 15:54:01
888文字
会話率:10%
冷たい雨が降る夜中、一匹の仔犬が施設の人間に山奥へ捨てられる。仔犬はその山奥から自分の足で下山する。
龍崎志乃は朝のニュースである施設が爆発し
死者二人と動物の存在を知る。
会社に出社すると同僚の奈々子から驚く事実を訊かされた。犬を実験材
料に使っている事、その話は奈々子の知り合い宅が爆発のあった施設が近い事もあり訊かされた話だそう…。
志乃は公園の木の下で一匹の灰色の犬と出逢う。彼女達の運命の歯車が動き始めた…。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-05-11 12:41:04
17525文字
会話率:58%