音楽大学で学ぶ親友のミオとユウキは、人気デュエット曲「運命のハーモニー」をカラオケで熱唱。その夜から家電の不調や怪音、子どもの影といった奇妙な現象に見舞われる。二人は「新しい演出?」「カラオケの神様のお告げ!」と面白がり、フライドポテトやピ
ザ、高価なワインを無性に注文するのもポジティブに受け止めていた。
SNSの匿名コミュニティで「運命のハーモニー」にまつわる「気になる体験」を知った二人は、別のデュエットを歌えば落ち着くという情報や、「80点以上でポイントが貯まる」という噂をゲーム感覚で楽しむ。しかし、なぜか79点で足止めを食らう。
諦めかけた時、カラオケ画面に突如「【初月無料】AI歌唱力アシスト機能」のバナーが出現。「80点以上でポイント倍増!」「高価なお酒でボーナスポイント!」といった誘い文句に惹かれ、二人は月額会員登録。AIの力で簡単に80点超えを達成し、「これってまさに魔法の力だね!」と興奮する。
現象が落ち着くと信じ、ミオはバイト先の先輩ケンタを、ユウキはサークルの仲間アヤカをカラオケに誘う。新規会員勧誘のボーナスポイント目当てで熱心に友人を巻き込み、特典のために公式アプリも導入。アプリの「気になる体験」通知も「リアルタイムで面白い!」と楽しんだ。
ミオたちの現象は収まったものの、今度はケンタとアヤカに同様の異変が起こり始める。彼らも映像に紛れる「歌え」「高得点」「ポイント」といった記号や、高価な注文を無意識にしてしまう。ミオたちは純粋に彼らの現象も解決すると信じ、連鎖は広がるばかり。
カラオケチェーンは記録的な売上を伸ばし、「運命のハーモニー」は社会現象に。「不思議なデュエット」の噂が広まるが、ミオたちはカラオケ画面の細かい演出に感心し、高得点やポイント、友人との楽しい時間こそが「カラオケの魔法」だと信じて疑わない。潜在意識に働きかける映像にも惑わされず、歌への情熱で高得点を叩き出し、カラオケを満喫する。
ネットでは「不思議なデュエット」に関する噂が広まり、見えざる何かの存在が囁かれるが、ミオたちは今日も楽しそうにカラオケ店へ向かう。「だって『運命のハーモニー』は神曲だし、ポイントでお得に歌えるし、私たち、カラオケの魔法にかかっちゃったんだもん!最高!」彼女たちのハッピーなカラオケライフは、これからもずっと続いていくのだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-22 21:42:37
2311文字
会話率:6%
華やかなパリ、オペラ座界隈。表通りにはシャネルやヴィトンを求めて集う観光客たちが行き交い、光が溢れている。だが、一本裏通りに入れば、そこにはもう一つの「パリ」がある――現地に根を下ろした日本人たちが静かに、時に激しく生きる、もう一つの街の顔
だ。
本作は、パリ在住の翻訳者を語り手に据え、1990年代から2000年代初頭にかけての「日本人街」の実相を描く、全12話の連作フィクションである。登場するのは、免税店で働く女性、フランス人の夫を支えるレストラン店員、夢破れた画家、ビジネスで転落していく兄弟、カラオケラウンジに集う亡霊のような常連たち…。彼らの姿を通して描かれるのは、異国で生きるということ、誰にも言えない嘘、そして、言葉では救えない苦しみである。
登場人物の多くは「何かを求めている」。金、愛、名誉、あるいは“理解されること”を。だが、その願いはしばしば裏切られ、沈黙のなかに押し込められていく。翻訳という職業に携わる主人公は、そのすべてを“言葉にならない現実”として受け止め、語ることの限界と希望の両方に向き合う。
「翻訳できないのは、心の奥だった」
という一節に象徴されるように、この作品は人間関係のすれ違い、文化摩擦、ジェンダー、階級、国籍といったさまざまな「見えない壁」を静かに、しかし鋭くあぶり出していく。時にユーモラスに、時に残酷に、物語は進む。そして、すべての登場人物が、どこかで「選ばなかった自分」と対峙する瞬間を迎える。
また、各話にはモデルとなるような現実の事件や社会背景も散りばめられ、ドキュメンタリー的なリアリティも感じられる構成となっている。事実とフィクションの境界が曖昧になるような、濃密な読後感が特徴だ。
この物語に登場するのは「成功した日本人」ではない。むしろ、名もなく、声を上げることもなく、パリの裏通りでひっそりと生きてきた人々である。だが、彼らの生きざまには、語られるべき価値と、誰かに届いてほしい祈りが込められている。
本作は、「異国に生きること」をテーマに据えつつ、同時に「日本とは何か」「自分を支えるものとは何か」を問いかけてくる。かつてフランスで、そして今なお世界のどこかで“営業時間外”に生きている誰かの魂に、そっと手を伸ばすような物語である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-02 08:32:45
20986文字
会話率:27%
雀になぞらえられたのなら、まだいい。ミミズとかオケラとかアメンボだと、複雑な気持ち度が上がる。
最終更新:2024-12-24 00:00:00
278文字
会話率:0%
舞台は二〇三五年、とある港町バリータウン。人間ともうひとつの知的生命体『ハザード』が存在する世界。
夏の終わりころ、町では毎週のように行方不明者が現れ、その数は十名以上に及んでいた。主人公である警察官シュートはこれを調べていたが、実の妹
であるマーシュまでもが行方不明になってしまう。なんとかマーシュを探し当て一度は助けられたものの、後日、マーシュは浜辺にて水死体で発見される。
実はこの事件は、人間をハザードに変える能力をもつハザード、ジェイニーが引き起こしており、マーシュもジェイニーの能力で怪人にされていたのである。その結果、急激な肉体の変化によりマーシュは精神が分裂し、自殺したのであった。シュートは強い執念と偶然が重なりジェイニーと巡り会うが、自らもまた、ジェイニーに襲われてしまう。そしてハザードとして変身能力を得るのであった。
〈人物紹介〉
○警察陣営
・シュート・ビート……主人公その1。男性。味方陣営の中で唯一飛行能力をもつ。巨大な羽をつかって暴風を起こして攻撃することもできる。ジェイニーに針を刺され、人間からハザードへなった男。
・ルーリー・サイラス……シュートの相棒の女性警察官。
○バナグラス一家
・ハルト・バナグラス……主人公その2。高校生でアメコミが好き。ころしを嫌う。クモの特質をもつハザード。
・ソラト・バナグラス……一六年前を舞台にした「変身世界のグルメパーティー」にも登場した、ウサギの特質をもつハザード。巨大な耳は広範囲の音を聞くことができる。妻と二人の子がいる。
○グリーンコアカンパニー(怪人陣営)
・ジェイニー・フライ……蚊の特質をもつハザード。シュートの妹の仇。
・セイド・セコム……バラの特質をもつハザード。バネッサ・セコムの実の弟で、バネッサとのコンビネーションは抜群。
・ナイン・ナッシュ……サルの特質をもつ上級ハザード。身軽な動きと本人が取得したカンフーによって多彩な技を繰り出す。
・ロデス……オケラの特質をもつハザード。
・ザイラス……サイの特質をもつハザード。ジェイニーの針に刺され、人間からハザードになった。
・バネッサ・セコム……アルマジロの特質をもつハザード。セイド・セコムの姉。
・ボス・ボルカニック……カンパニーのリーダーで、ボスと呼ばれている。能力は分かっていない。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-04 06:00:00
116330文字
会話率:44%
ゲーム障害(ゲーム中毒症)で、重課金を続けた結果、死を選んでしまった主人公つっちゃが、守護天使ワーノによって異世界へと転生できる事になり、よく分からない2つのチートを駆使して無双したりハーレムを目指す夢を叶える異世界ファンタジー小説。
最終更新:2023-12-10 21:36:18
2427文字
会話率:24%
マペット劇団オケラ座で初演出を担当する男の作品の稽古中に使用マペットが消失する事件が。
その消え方が怪異すぎると、演出助手の女性が、怪奇現象に詳しい友人に相談を。
その友人はウィッチ・パラダイスという魔女グッズショップのソフィア佐伯。
彼女は、盗難現場の稽古場へと向かい、あらためてその場の異常さを知る。
助っ人に「音の悪霊浄化師」が加わり、公演を成功へと。という話。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-12-12 15:17:01
52581文字
会話率:47%
筆の進まない小説家の夏に起こった非日常
最終更新:2022-02-28 03:58:24
506文字
会話率:0%
とあるブラック企業に勤めていた男は過労のあまり、風呂の中で寝てしまった。
そして気付けば、心地良い暗闇の中にいた。
何も見えなかったが、男は目の前にある木の根の樹液を吸うだけのその生活に次第に慣れていった。
やがて彼は自分がセミであり、
異世界に転生してしまった事実に気付くが、オケラを倒したり、冬虫夏草と意気投合したりなど、充実した時間を過ごしているうちに、三百年の時が過ぎた。
そして――男は宿敵であるモグラと対峙することになり、つい羽化する時を迎える。
これは、魔力の豊富な土の中にいて、世界樹の樹液を吸い続けたおかげで、無自覚に世界最強レベルの魔力を持った、とあるセミになった男の旅立ちの物語である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-09-22 18:11:47
11813文字
会話率:42%
ブルドッグのマックスとプードルのヘレンは恋人同士。でも結婚まで至らない。結婚指輪を買うために金を溜めてもカジノでオケラになってしまう。そこに怪しい声がささやくのであった……。
とびらの様のあらすじだけ企画です。
最終更新:2021-01-01 01:00:00
1821文字
会話率:8%
崩壊世界後に生を受け“オケラ”と蔑まれている主人公達のサクセスストーリー...のようなモノ。
彼らの活躍wに乞うご期待ください。
最終更新:2020-05-04 13:55:10
3688文字
会話率:8%
この世界では12歳になると恩恵と言われる能力が神から授けられる。
しかし主人公ダレン・ソルビーは神に見捨てられたのか、恩恵を授かることはなかった。
それでもダレンは愚直に努力し、幼馴染で構成されたメンバーでロイヤルズ王国にあるトロントという
街一の冒険者パーティーに成長する。
「ダレン……、私さ――」
だが強くなるにつれ、自身と幼馴染たちとの間には努力では到底追いつけないほどの力の差を痛感させられてしまい、自分が彼らの足を引っ張っていると感じ始めたそんな矢先に恋心を抱くシェリル・オケラーからパーティーを抜けるよう遠回しに言われ、
「抜けるよ」
と自分からパーティーを抜けることを決断。
そして仲間を失い、裏切りに遭ったダレンの窮地を救った初心者の女の子ふたり組を強くしてくれるように頼まれ、恩返しをするため、彼女たちのパーティーに加わることになる。
これは憧れの冒険者を目指す少年、少女の物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-11-28 22:14:21
120433文字
会話率:44%
ある日、学校のグランドに巨大な絵が描かれた。これは鯛のお頭からの挑戦状である。僕と幼馴染のエミは鯛のお頭を打倒すべく、夢と現実を行き来する。
最終更新:2018-12-15 16:15:36
2582文字
会話率:35%
モグラさんは、生まれたときからずっと土の中で過ごしてきました。土の中が大好きで、外の世界に出ることなんて考えられませんでした。
ある日、うっかりオケラさんの家の壁を壊してしまった時、オケラさんが水浴びに行くと言いました。どうしてわざわざ水の
中に自分から行くのかモグラさんにはわかりません。
そこでモグラさんは後をつけてみるました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-12-12 23:19:24
4059文字
会話率:31%
自殺が相次ぐ人口1000人にも満たないこの御守村で、いったい何が起こっているのか……。
そうした村の謎を解くために、3人のエセ探偵が立ち向かう……。
――可我見の求道者・羽槻道育(はねつきみちやす)
その失われた記憶と、失われた時間の謎を
解き明かそうと奮起する少年。
自分の脳髄だけで堂々巡りするやいなや、退屈きわまる日常に泣き寝入り。犯行(ハウダニット)探偵
――停滞する小法師・蒲生春秋(がもうはるあき)
戯れ言には興味を示さず、名ばかりの読書に現実逃避を求める物憂い人物。
過去も未来も求めず現在のみ見つめるという、達観した自分を諦観する彼はその無念を抱えている。動機(ホワイダニット)探偵
――おどけた与太郎・福洗二双(ふくあらいにそう)
合理的な性格に相対する楽観的な思考能力を、蒲生の論理でおぎなう体裁を取る怠け者。
退屈な日々を取り戻そうと事を荒だてる彼は、矢も楯も堪らぬ毎日とは裏腹に角が立つのをやっかむ。犯人(フーダニット)探偵
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-05-12 20:03:20
79467文字
会話率:50%
激しい戦いの中で少年はその野望を強固なものにしていく。例えその思いが邪なものであったとしても少年は立ち止まらないだろう。
ガチガチの悪役厨二ファンタジーです。
約6年前に書き始めたものなので、修正を加えながら投稿していきます。
この小説
はエブリスタ様に投稿している作品のリメイク版です。重複投稿の扱いになると思われます。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-08-04 01:46:30
11129文字
会話率:16%
昨日までぴっちぴちの高校二年生だった私、猫咲ネネコは、何故か高校一年生の入学式の朝を迎えておりました。何故だ。しかも高校の名前、『龍神学園』って、昨日友達に借りた乙女ゲームの舞台と同じなんですけれど。何故だ。ちなみに、その乙女ゲームの謳い文
句は【竜と貴女の禁断の恋】…うん、OK。そして攻略対象はただのイケメン…うん、おかしい。ちょっとそこに直れ、おかしいだろう。■イケメン攻略対象をかわして初恋を貫くちょっと変わった名前の少女の、ちょっと残念な嗜好による、ちょっと不思議な学園恋愛スローライフとかそういう系の物語です。■ドラゴン、異種愛など苦手な人はちょっと注意です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-11-09 02:00:00
38167文字
会話率:35%
※ブログからの転載です。
即興小説お題『早すぎたモグラ』より、外の世界を夢見たモグラと見守る彼女の顛末。
最終更新:2013-09-19 22:52:28
4113文字
会話率:45%