新卒社会人の、麻倉健人(あさくらけんと)は、健人が中学の時に他界した祖母の影響で、とある福祉事務所で働いていたが、その事務所は、いわゆる「ブラック」な職場であった。
そして健人は、その過酷な勤務に耐えかね、突発的に近所のホームセンターで
ロープを買い、その事務所が見渡せる小高い山で、自殺をしようとする。…しかし、健人は最後の最後で、その勇気が出ない。
そうこうしているうちに、健人の目の前に、「森の妖精」と名乗る女の子が、現れる。最初はそれを信じなかった健人であったが、森の妖精の瞬間移動を見るなどして、健人はその存在を信じるようになる。
また、森の妖精は、自分のことを、「もっちゃん」と呼んで欲しい、と健人に伝える。そして健人ともっちゃんは、仲良くなっていき―。
〈15年前〉
両親の離婚・再婚の影響で健人の通う小学校に転校して来た元木萌花(もときもえか)は、クラスメイトの男子に離婚・再婚の件がばれ、いじめを受けていた。そんな中、初めて会った萌花に恋をした健人は、男子たちのいじめから萌花を守る。また、その影響で、萌花は自分のランドセルに、(健人のことを好きな他の女子から)「もえか。しね。」と落書きをされてしまう。それを見た健人は、自分のランドセルと、萌花のランドセルを交換するように、萌花に一方的に提案し、健人のランドセルを押し付けて帰ってしまう。そして、そんな健人の優しさに触れた萌花は、健人に恋をするようになる。
また、ランドセルの件で麻倉家と元木家は仲良くなり、萌花の新しい父の連れ子で萌花・健人より3つ上の姉、鈴(すず)を含めた3人は、一緒に遊ぶようになる。そうして1年が経つうちに、萌花たちの父は転勤をすることになり、元木家は引っ越しをすることになる―。
ブラックな職場で苦しむ主人公と、それを取り巻く人たちとを描いた、優しく温かい物語。
※2018年 集英社ノベル大賞 1次選考通過作品 折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-06-28 17:00:00
42307文字
会話率:42%
「生活保護課長・森山直樹」の続編。
南大阪町福祉事務所は、開設2年目に突入した。1年間の予定で大阪府から出向してきた主人公・森山直樹は、町長と民生部長の強い希望により、引き続き生活保護課長を拝命した。
待ったなしで巻き起こるさまざま
な人間ドラマ…まだまだ半ば手探りで、それに真摯に向き合う主人公と7名の部下たち…。福祉事務所が成長期に差しかかった1年を描く。
※全24話、毎日20時更新です。
※この物語はフィクションです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-04-17 20:00:00
46830文字
会話率:59%
主人公・森山直樹は福祉専門職の大阪府職員である。2017年春、南大阪町に福祉事務所が設置されることになり、生活保護課長として出向することになった。
南大阪町は、大阪府南部の人口3万人の町。地場産業として繊維業が盛んであったが、それも今
は昔である。昔ながらの風情も残しながら、現在は大阪のベッドタウンとして、そして、その環境の良さから、病気療養の地としての評価が高く、人口は増加傾向が続いている。
業務未経験で右も左もわからない部下たち…。しかしながら、現場での支援は待ったなしである。主人公が、部下たちとともにさまざまな課題に立ち向かい、ハード面、ソフト面両方から福祉事務所を作り上げていく1年を描く。
今何かと話題の「生活保護」について、実際に支援している側の視点から描いた「お仕事小説」。
※この物語はフィクションです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-03-24 22:00:00
57070文字
会話率:45%
主人公・森山直樹は福祉職の地方公務員。生まれも育ちも大阪府堺市・・・生粋の堺っ子である。2002年12月、妻・恭子と結婚し、3人の子どもに恵まれて、家も建てた。
表面的には「典型的な日本の家族」に見えていた森山家であったが、時間の経
過とともに不全感を強めていく直樹。40歳を目前に控えたある日、突然恭子に離婚を突きつける…。そこには、とある「家族病理」が暗い影を落としていた。
現代の家族病理…「一卵性親子」に翻弄された、平凡なアラフォー男のストーリー。
※リアリティを出すため、一部実在する地名・機関名を使用していますが、この物語はフィクションです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-02-10 20:00:00
53328文字
会話率:21%
自宅でソーホーの仕事をしている精神病患者の僕はずっとオヤジと仲が悪くて、今後のことに関し、悩み続けていた。だが僕を助けるのはすでに別居している姉じゃなくて、病院や福祉事務所などだと思い、気を楽に持っている。悩んでも仕方ないことが多くて、一人
じゃ整理できない。そしてオヤジはその年の七月下旬、入所先の特養で死んだのだが……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2013-07-29 10:40:04
2729文字
会話率:5%
栄太郎は帰帆市役所に勤める生活保護のケースワーカー。彼は佐々木律子という母子家庭を自立させようと躍起になっていた。だが律子の態度は煮えきらず、ある日、福祉事務所に内緒で居酒屋で就労しているところを目撃されてしまう。不正受給扱いはせず、何と
か「本当の自立」への支援をしていくうちに栄太郎は律子にほのかな恋心を抱いてしまう。休日に公園で会う栄太郎と律子親子。だが市民と名乗る人物から福祉事務所に通報が入る。栄太郎と律子が仕事を外れ、密会していると……。律子の本当の気持ちを確かめ、栄太郎は本当の貧困とは人の心の中に巣食う闇にあることを知る。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2009-10-24 09:22:16
26147文字
会話率:58%
夜勤明けのある朝。僕は福祉事務所の澤井さんという人からの電話で起こされる。電話は湯河原で生活保護を受けている父の訃報を知らせるものだった。
父は母に言われ無き暴力を振るい、母と僕は湯河原から川崎まで逃げてきたのだ。いまさら他人だと僕は突
っぱねるが、澤井さんは遺骨だけでも引き取って欲しいという。
母の揺れる気持ちを知り、僕は火葬場に向かう。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2009-10-23 18:41:41
24637文字
会話率:38%