「でね、その従姉妹の家で飼ってる猫ちゃんが、凄く警戒心が強くてなかなか私に懐いてくれないんだけど、おやつをあげた時だけはすぐ近寄って来て、夢中で食べてくれるのが、超可愛いの!」
「……そうか」
とある放課後の教室。
そこで俺はいつもの
ように、隣の席の朝比奈と二人で、世間話に興じていた。
……嗚呼、今日も朝比奈は可愛い。
小動物を彷彿とさせる、小柄な身体とくせっ毛の髪。
いつもニコニコ笑っている、太陽みたいな明るい性格。
朝比奈は元来口下手でコミュ障な俺に、唯一優しく話し掛けてくれた、天使のような存在だった。
そんな俺が朝比奈に分不相応な恋心を抱いてしまったのは、言わば必然だったのだと思う。
「……あー、ごめんね田村くん、また私ばっか喋っちゃって」
「……いや」
そんな、気にしないでくれよ朝比奈。
俺は朝比奈が楽しそうに話しているのを見てるだけで、赤スパを投げたいくらい心が満たされてるんだから……。
「私なんかと喋ってても、田村くんは楽しくないよね……」
「――!?」
朝比奈!?
いつも笑顔を絶やさない朝比奈が、目に見えてしょぼんとしてしまった。
嗚呼、違うんだ朝比奈ッ!
俺はただ口下手なだけで、楽しくないから話さないわけではないんだッ!
「あっ、もうこんな時間。私、家の手伝いしなきゃいけないから、先帰るね。またね、田村くん」
「……あ、あぁ」
何か言わなきゃという焦燥感に駆られたものの、結局喉から言葉は出ないまま、寂しそうに一人帰って行く朝比奈の背中を、俺はただぼんやりと眺めていた――。
「……はぁ」
その後俺は、藁にも縋る思いで、隣町にある占いの館で俺と朝比奈の相性を占ってもらうことにした。
「す、すいません」
勇気を出して仰々しい扉を開けると、店内は間接照明でいかにもオカルティックな空気を演出していた。
「あっ、いらっしゃいま……せッ!?」
「?」
狭い店内の中心に座っていた占い師風の人物が、俺の顔を見るなり、露骨に狼狽えた素振りを見せた。
占い師さんは顔を物々しい仮面で隠しており、声もボイスチェンジャーで加工しているので性別すら不明だが、体格的におそらく女性だろうと思われた。
「あのー、俺の顔に何かついてますか?」
「い、いえいえいえいえいえ! 何でもありません! ど、どうぞお掛けください!」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-03 21:01:40
6678文字
会話率:54%
コンビニの昼シフトで出会った、一組の男女。片や中年のフリーター、片やノリの軽いギャル。狭い店舗、おじさんと少女。今日も、何かが起きる……!?
最終更新:2024-04-21 08:29:46
6610文字
会話率:56%
店員のみほちゃん目当てにスナックに通う40代の北川。
狭い店内での出来事はすべて自分に降りかかってくるのだが、それをうまく処理できていない。たまたま出会った吉田さんは、みほちゃんとも仲が良く、臨機応変な対応もできるので。。。
最終更新:2021-05-28 22:07:29
5879文字
会話率:27%
とある街でとあるバーをオープンさせ、初めて2人連れのお客様がいらっしゃいました。
会話の少ない2人なので、2人の関係や、2人の間にある何かがよくわかりません。
2人はサラリーマンのようですが、似合わない2人が、なぜ2人で飲んでいるのか、会話
から少しずつ、見えてきました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-11-13 18:22:47
11804文字
会話率:41%
奇妙な看板に魅せられて、男が入った狭い店には女が一人。その女が渡してきたお酒を飲むと、男は不思議な世界へ。
『少し苦いお酒、飲みませんか?』
最終更新:2018-10-29 10:00:00
17402文字
会話率:53%
安いから。という理由で人気のないシャッター街の一角を買取り、趣味で集めた酒を振舞う風変わりな女店主、蔵王峰柚真が経営するBAR名前はヴィクセン。
男に間違えられるハスキーボイス、短い黒髪に化粧っけのない眠そうな顔。
おおよそモテるとはいい難
い要素がてんこ盛りなのに、本日も真鍮製のドアノブが回される。
カウンター6席、テーブルは2席。
狭い店内は本日も大入り。
現世界?いいえ、異世界民の為のBARでございます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-05-28 03:36:32
7077文字
会話率:25%
東京、大都心のそこまで栄えていない駅。北口徒歩二分の雑居ビルの一階に、人目を気にする方々の憩いの場がある。狭い店内はテーブルは二つだけで、後はカウンター。オレンジのライトが優しく店内を照らすこの店、通称「英雄酒場」。今日も、心と体を休めに、
多くの英雄たちがこの店にやってくる。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-08-26 12:00:00
13685文字
会話率:29%