ジュリアスティア――ジュリアは、六度前の人生を〝救世の聖女〞と呼ばれる少女・ハルミアとして生きた記憶を持っていた。ハルミアが六度の転生をする理由――それはかつて愛し、独りこの世に残してしまった魔王に、もう一度出逢うため。
けれど、神より七つ
の徳と引き替えに彼女へ与えられた転生の機会は、今世を除いてあと一度きり。しかしその転生をしてしまえば最後の徳である愛を失い、魔王への愛も失ってしまうのではないかと気付いてしまう。
これは、かつて悲恋で終わってしまったお伽噺の結末を、六度目の今世こそ〝めでたしめでたし〞て成就させようと決意する、とある元聖女の物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-09-04 06:00:00
19718文字
会話率:25%
強い軍事力を誇ると共に、自然豊かなロージャ王国の王女、アリックス。
庶子である彼女は、王妃に忌み嫌われ、城から離れた森の中の小さな屋敷で育っていた。そんなある日、自分を気にかけてくれる兄、レオニード王子が怪我を負った少女、パティを連れてや
って来る。
『彼女を、この屋敷で働かせてやってほしい』
『丁重に、大切に扱ってやってほしい』
兄のたっての願いであるが故に、そして同年代の少女と関わる機会がなかったが故に、怪我が治り次第、パティを自身の専属のメイドとして働かせつつ、親友のように親しくなるアリックス。
ところがある日、アリックスは突然前世のとある記憶を思い出し、そして気づく。ここは、自分が前世で読んでいたファンタジー小説『追憶のパトリシア』の世界であること。ロージャ王は五年前、小説どおり、同盟国であった隣国、べネシア皇国を突如侵攻し、滅ぼしたこと。そして、小説どおりであれば、パティはそのべネシア皇国の皇女・パトリシアであり、秘密の恋人であったレオニード王子に国を滅ぼされ、ショックのあまり記憶を失っていること。
アリックスは動揺する。何故ならば、本来の小説では、アリックスは最後までパティがパトリシア王女であるとは気付かない。そして何よりも、『追憶のパトリシア』は、記憶を思い出したパトリシアが愛と復讐に苦しみ、最後はレオニードと共に心中してしまう悲恋小説だった。
記憶を持って、アリックス王女に転生したことに意味はあるのかもしれない。大好きな兄と、大好きな親友を失いたくないアリックスの奮闘が始まる。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-05-03 15:25:23
15572文字
会話率:34%