僕の目の前にたくさんの人がいる。主にその人の群れを構成するのは子供で、中心には男が一人。そしてそれを穏やかに見つめる女が一人。僕は傍観しているような気分でありながら、群れを構成する一人だ。
眼の前の光景には家族団欒という名前を付けら
れた。男がお父さん、女がお母さん、僕を含めたその他が子供。群れと呼べるほどの人数があるだけあって、皆と等しく仲が良い訳では無い。僕がよく話すのは一人の弟と一人の姉。しかし僕ら全員に血の繋がりなどなく、お父さんとお母さんも結婚なんてしていない。
一つの世界を構成してしまいそうなほど大きなこの部屋の外には、僕の本当のお父さんやお母さんに妹がいる。僕ら全員、今眼の前の家族がデタラメだと知っている。それでも得体のしれぬ男を父と呼び女を母と呼ぶのは、この世界に囚われているからだろう。この世界いちばんの毒に侵されているのだ。その毒の名前は『幸せ』という。理由が分からない程に『幸せ』以外を感じることができないのだ。この世界の家族になってしまった僕らは等しく『幸せ』の中毒者。どうして『幸せ』なのかさえ理解らないくせに安心と一緒に噛みしめる。
果たして僕のいる世界は何なのか?
お父さんやお母さん、兄弟の正体とは?
現実と夢が交わり合う、ファンタジー的ミステリー。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-30 14:29:30
13898文字
会話率:6%
ジョンとリアムは三つ子のうちの二人だ。幼いころに分かたれたもう一人の兄弟を探す旅に出ることにした。それは主様と呼ばれる飼い主から脱走することを意味していた。ジョンとリアムは、主様に飼われる自分に思い悩み、生き別れの兄弟がどのように生きてい
るのかを考えると、ジェラシーを感じた。その嫉妬心が、ジョンとリアムを衝動的に突き動かし、蠱惑的な旅へと誘い出す。世間知らずのジョンとリアムは序盤こそ様々な冒険をし、様々な人々に関わる。主様からの追手からの逃走劇とめくるめく流浪の旅、三人目の兄弟の正体、見えてくる世界の全貌、無知ゆえに起こされていく悲劇。世界は混沌と均衡のはざまで揺れる。物語は、誰を主人公とするのだろうか?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-04-07 21:35:21
17410文字
会話率:67%
同じ自分がいる事をある日知ってしまう。
親友にも、同じ様な事が起きていたのだ。
最終更新:2016-02-25 04:50:48
4765文字
会話率:19%