遥か昔、神に背いて楽園を滅ぼした一人の男がいた。禁断の果実を取って食べたその男は恐るべき魔人【ゼノク】と化し、その血に刻み込まれた魔性の呪い――ゼノクの力は彼の子孫たちへも受け継がれることになった。
それから永い時が流れ――世界は動乱
の時代を迎えていた。聖地エスティムの奪回を掲げ、西のアレクジェリア大陸の諸国は神の名の下に連合軍を組んで東のラハブジェリア大陸へと侵攻。折しも、激戦が続くエスティムの街では超人的な力を持った怪物たち――ゼノクの出現が相次いで報告される。そんな中、エスティムの攻略を目指すリオルディア王国軍のメリッサ・ディ・リーヴィオ伯爵は、防戦するアラジニア王国軍のマムルークであるラシード・アブドゥル・バキという記憶喪失の青年と戦場で出会い、十年前に死んだはずのリオルディア王家の落胤レオナルド・オルフィーノの面影を彼に見るのだが……
渦巻く戦乱と怪異。神に背いた原罪がもたらす流血の時代に果たして終焉は訪れるのか。神々と人間たちがかつてない戦いを繰り広げる混迷の世紀が、今始まる!
*カクヨム、ノベルアップ+にも掲載しております。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-09 12:23:16
194201文字
会話率:58%
十五世紀。中世も終わりの兆しを見せるこの時代、度重なる十字軍派遣により欧州各国はその国力を弱めつつあった。
また、食生活において当時の人々は肉を保存するため、塩漬けにしていたが、それはお世辞にも美味いと言えるものではなかった。水分が抜
けカチカチになった肉は日にちも経てば変色し、そして腐る。
そんな中、東地中海のカイロ、アレクサンドリアといった都市を持つマムルーク朝エジプトは、東の紅海を抜けインドと貿易をしていた。
そこで取引された胡椒などの香辛料は肉の味を落とさずに保存できる、最高の保存料として欧州で重宝された。
当時胡椒と銀は同量で取引されるほど、香辛料は高価なものだった。
そして残念ながらそれらは温暖湿潤の気候でしか育たず、欧州では輸入に頼るしかなかった。
当時の欧州各国は敵対するマムルーク朝を抜けてインドに到達することは不可能であった。そのため、エジプトに近いジェノヴァやヴェネツィアの商人たちがエジプトとの胡椒の取引を独占した。世に言うレバント貿易である。
同時期、欧州西端のイベリア半島では国内のイスラム勢力を排除してキリスト教国家の復権を目指す国土回復運動、いわゆるレコンキスタが、いよいよ終わりを迎えようとしていた。
イスパニアに先駆けてレコンキスタを完了させた小国ポルトガルでは、バルトロメウ・ディアスの喜望峰到達により、アフリカ大陸を南下して東進インドに向かう、東回り航路で胡椒を手に入れようと躍起になっていた。
「大航海時代」の幕開けである。
さて、歴史における大航海時代とはまさにその通りなのだが、ここはそれとは違う舞台。
馴染みの国名、人名、出来事もパズルのようにずれている。
欧州西端の国、イスパニア。ここに一人の少女がいた。公爵令嬢の彼女は身分も身なりもしっかりして、英才教育により高い教養も身につけている。まさに才色兼備である。ただ一つ、いささか性格に難があることを除けば。
話は冒頭のレコンキスタをめぐって、彼女にスポットを当てて始まる。
これはそんな世界の物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-16 18:10:27
118786文字
会話率:59%
13世紀初頭、一平民でしかなかった逞しい体格に似つかわぬ臆病な少年バイバルスは当時猛威を振るっていたモンゴル帝国の侵攻によって全てを奪われる。
唯一残った肉親である姉と共に奴隷身分に落とされ、絶望に暮れるバイバルスは奴隷生活の中で、奴隷の身
分でありながら、名声得る存在である奴隷軍人マムルークを知る。
奪われたものを取り戻すために、臆病だった自身のせいで共に奴隷となった姉のためにバイバルスはマムルークを目指す。
これは、全てを失った少年が勇気を得て、成り上がりとリベンジを果たすために奮闘する史実を元にしたアクション軍記物語である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-02-10 18:02:17
84851文字
会話率:18%
いかにも「なろう」っぽいタイトルを付けてみましたが、小説ではなく歴史エッセイです。
イスラムの英雄バイバルスのことをもっと知ってほしいとの思いを込めて。
最終更新:2022-10-06 00:06:51
29726文字
会話率:3%
「モンゴル軍の侵略を撃退したのは日本だけだ!」、「んなわけあるか!」といった話題に際して、しばしば引き合いに出されるのが、エジプトマムルーク朝のバイバルスと、もう一人。ベトナム陳朝の将軍、陳興道(チャン・フン・ダオ)です。
今回はベトナムが
誇る英雄の一人である陳興道という人物を取り上げます。
全四話構成。毎日更新でお届けしますよ~。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-09-04 08:53:12
16504文字
会話率:4%
イスラムの歴史の中にも、ごくわずかながら、女性の君主が存在しました。
今回取り上げるのはそのうちの一人、十三世紀北インド・奴隷王朝の第五代スルタン。ラズィーヤという女性です。
最終更新:2022-07-22 08:48:07
4139文字
会話率:0%