ヴァン・ヘルシングの妻は生きていた!?いや、生きていたかどうかの判断は難しい。ブラム・ストーカーの小説「ドラキュラ」にはこうある。「そして私は、私にとっては死んでいるけれど、しかし教会法では生きていることになっている、もう心もない妻」。私に
とっては死んでいる、もう心をを持たない妻、これはふつうに考えれば、認知症で何もわからない,自分の夫さえも認知できない状態とも考えられる。なので教会法では生きていることになっている。そう、精神を病んで生きている。だが、もし死んでいるのに葬ることができない存在ならば?なぜ葬ることができないのか?はっきりと死んだ状態にないからだ。死んでいるように見えるが死んでいない。生きているように見えるが死んでいる。彼の妻は不死者ではないのか?ヴァンパイアハンターであるヴァン・ヘルシングは、本来ならば不死者に対しては躊躇いなく胸に杭を打ち込む。だが、それが愛する妻ならば、杭を握る手に、槌を振るう手に、力を込められただろうか?思い出して欲しい。ヴァン・ヘルシングは小説「ドラキュラ」でヴァンパイア化したルーシーに杭を打ち込む役を誰に任せたかを。あれは苦い自戒ではなかったのか?
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-29 16:19:32
72288文字
会話率:38%
『トランシルヴァニアの伝説』著者のエミリー・ジェラルド女史はその後、トランシルヴァニア全般に関する2巻の滞在記を出している(1888)。ブラム・ストーカーが参考文献として言及したのは先の『伝説』であるけれど、『ドラキュラ』(1897)執筆時
点でこの本も読めた筈で、実際にはこちらを参照しているとの説もある。
しかしながらこれも未訳なので、読んでみることにしよう。底本はプロジェクト・グーテンベルクに拠る。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-01-22 12:48:12
477403文字
会話率:8%
※作中の{ }は、振り仮名・ルビです。(公募原稿へのコンバートのため)
二挺のリボルバーでタロンと戦う鳩羽美咲と僕の物語。
表題は、ブラム・ストーカー『ドラキュラ』より。ルーマニア語で「竜の息子」を意味する(竜は悪魔という意味もある)、から
。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-05-22 00:19:49
159808文字
会話率:53%
理工学部応用化学生物科の教授神山裕之が手紙を持って医学部の友人栄田武を訪ねた。手紙を翻訳してほしいと言う。手紙は十五世紀、ワラキア公国の君主ヴラド公の手紙の写しだという。栄田は時間をもらってルーマニア語の手紙を翻訳する。内容はオスマン帝国の
兵士を殺して串刺しにしたことと、その真意が書かれていた。神山はまた別の手紙の写しを持ってくると、翻訳を頼んだ。うっすらと見えてくる神山の意図に、栄田は恐怖を感じ始める。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-09-22 17:00:00
23575文字
会話率:25%