「――そして彼は…………すまない。つい黙ってしまった。彼は……私を支えてくれた側近であり、そして……友であった。心から追悼の意を」
国営放送の収録。執務室、カメラの前で彼はそう締めくくった。彼、と呼ぶのも畏れ多いその男はこの国の独裁者。
わざとらしい間の若干、白々しい演技だったが、それを指摘できる者はいない。テレビクルーもそそくさと執務室を後にした。
そしてそう、演技。たった今彼が追悼の意を示したその側近は彼が殺した。正確には彼がその側近の乗るヘリコプターを撃ち落とすよう命令を下したのだった。
理由は単純でそして根深い。歴史上、独裁者たちを蝕んできた特有の病からくるもの。『疑心暗鬼』だ。彼は側近が今に裏切り、自分の命を、その地位を手にしようとしていると思わずにはいられなかったのだ。しかし、それが解消された今、彼の表情は随分と柔らかくなった。祝いだ。今夜は別荘に愛人を呼び寄せよう。そう思うと顔の筋肉は益々弛緩する。しかし……折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-18 11:00:00
2801文字
会話率:71%
ついに日本万国博覧会。略称、万博が開かれようとしている。工期の遅れで開催そのものが危ぶまれていたように見えて、やると決めたらやる国だ。膨らみ続ける費用にむしろ中止しろ、そもそもなんで開催するんだ、また中抜きか、税金の無駄遣い、魅力なし、恥
を晒すだけ、などといった非難、嘲笑の声にも負けず、そのプレオープンに我々テレビクルーは駆け付けた。
各社協賛のもと作られたこの未来館は名だたる大企業らが生産性度外視でドンと力を見せつけるように各々が考案した未来の製品を展示、アピールしている。
ある自動車会社は一見普通の自動車かと思えば変形し、横向きになったタイヤからジェット噴射。そう、ホバーカーである。
そしてあるテレビメーカーは立体テレビ。介護、建設業界に向けたロボットに、接客を想定しているのかより人間に近づけたアンドロイド。自動ベビーカー。超軽量型VRゴーグル及びスーツなどなど広報担当の大下という男が我々の案内役を務め、局の女性アナウンサーが、その仕組みやら何やらをリポートする予定だったのだが……。
「おい、新人! しっかり撮っておけよぉ! これあとでぜってー使うからなぁ!」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-14 11:00:00
3057文字
会話率:42%
有名な幽霊屋敷”四つ馬邸”に憑く一人の霊が、取材に訪れたテレビクルーたちに恐怖のイタズラを仕掛ける……が……?
※他投稿サイトの企画用に仕上げたものでしたが、投稿時間と文字数がオーバーしたため泣く泣く通常の公開に。
執筆は計画的に……!
最終更新:2022-03-22 17:11:20
4309文字
会話率:39%
高校2年生になった僕は、今度こそ学園生活をひっそりと静かに暮らしたかった。ある日、妹がせがむのでラブレターを代筆してやった。なのに無敵美少女アイドルが、テレビクルーを引き連れて、そのラブレターを持って現れた。
一枚のラブレターをきっかけ
に、アイドルと同棲生活を始めることに。家庭と学園で繰り広げられるドタバタ恋愛&同居ストリーエンターティメント。見た目、美少女だけと中身がポンコツな妹。真面目の鎧をまとった妄想癖の変態幼なじみガール。一途な恋を夢見る暴走無敵美少女アイドル。僕に心の平穏は訪れる?
スマホ向けに1話3~5分で読めるように短めしてます。休み時間や待ち合わせなど空いた時間に気軽に楽しんでいただけたら嬉しいです。
●「Season2」を持ちましてこのお話は完結しました。
応援していただいた皆様、ありがとうございます!おかげで200万PVを突破しました。
初めて読まれる方はよろしくお願いします。ご感想をお待ちしております。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-04-27 22:29:56
174466文字
会話率:56%
突如現れた巨人がオフィス街を恐怖に陥れた。
彼の名は小諸晴彦(こもろはるひこ)。普通の営業マンだ。同僚と居酒屋でたらふくビールを飲み、トイレに飛び込んだまでは覚えているがそれからの記憶がない。目が覚めたら十五メートル級の巨人となって
いたのだ。
迫りくるのは巨大怪獣。おめでたい席でよくみるタイの塩焼のような姿をしており、晴彦を襲う。
一方、会社の先輩、鍋島京香は、怪獣を倒そうと晴彦を励ましその気にさせるのだ。
果たして巨人晴彦と怪獣の戦いの行方は。
京香は晴彦をうまく導くことができるのだろうか。生理現象に苛まれる晴彦に至福の時が訪れるのはいつの日か。戦いの最後に見えた光景とは?
ー夕陽の向こうに奴が立ち尽くす。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-02-24 05:00:00
7791文字
会話率:24%