江戸の闇に咲いた、血染めの純真の花。
文政年間、爛熟と退廃の空気が漂う江戸。
裏長屋に流れ着いた浪人の名は柚子島小三郎。
彼の心は妻を奪い、藩を捨てさせた男への復讐の炎だけで燃えていた。
過去の栄光も武士としての誇りも捨て、ただ憎悪を研
ぎ澄ます日々。
そんな彼の前に現れたのは垢じみた着物をまといながらも、子犬のように人懐っこい瞳を持つ少女さくら。
「字を教えてほしい」
その無邪気な願いは小三郎の凍てついた心に、思いがけず温かな光を灯し始める。
さくらとの交流を通して、彼は忘れかけていた人間性を取り戻し、過去の自分の過ち、元妻お実乃の心に寄り添えなかった後悔と向き合い始める。
江戸の片隅で懸命に生きようとする人々の儚い願いの物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-31 17:51:13
12654文字
会話率:15%
【アルファポリスより転載】
異国船が日本の近海に頻繁に現れはじめ幕府が打払令を出すなど、世の中が騒がしくなってきた文政年間。
江戸城西の丸大手門を警備する御番所で一人の侍が乱心、同僚三人を殺害、他にも多数の者を傷つけた大事件が起こります
。
曲亭馬琴が編纂した天保三(1832)年刊の「兎園小説 拾遺」には、この事件の関係者から聴取した記録を含め事件の詳細な経緯が掲載されています。
その「山形番士騒動聞書幷狂詩」を基に当時の状況を再現しました。
一部推測に依った部分もありますが、ほぼ馬琴の残した記録に沿った「事実」です。
二部構成で全四千字程度の短編です。
なお、殺人事件の記録ですので一部生々しい描写もあります、閲覧の際にはご注意ください。
また、尺や寸のセンチメートル換算は全て「約」ですのでご承知おきください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-05-24 19:00:00
4057文字
会話率:3%
本居宣長の孫、本居建正が書いたとする手紙の現代語訳。
……という設定。一切の現存する団体並びに御生存の方とは無関係であります。ご了承ください。
最終更新:2019-01-01 14:15:37
5860文字
会話率:22%