凄惨な幼少期、目を背けたくなるような境遇、追い討ちをかけるかの様な病、志半ばで失った夢、繰り返される挫折、いつまでも灯りの燈らない奈落の底。逃れられない運命に心を抉られ、気付けば愛だの夢だのくだらないと、誰にも関わらず人間を拒絶し笑顔を失く
し世界を断絶し、瞳に映る全てに絶望していた。だがそれでもただ懸命に、たった一つだけでもいいと〝生きる意味〟を探し続けながら大人になった孤独な男、幡西鷹斗。彼はある日、知らぬ間に病院のベッドに平伏していた。気を失っていたのか?事故か?記憶を失くしたのか?何も思い出せずにいた。ふと、何となく病室のテレビをつけてみることにした彼は、テレビを見た途端に何故かそこから様々な事がフラッシュバックしていく。以前から感じていた身体の違和感、身に起きてきた不可解な現象。しかしその自身が感じている症状は、どれだけ医師に説明しても全く伝わらず、呆気なく精神疾患だと診断されてしまう。誤診だと納得出来る訳も無く自ら身に起きる症状の原因を調べる事になったそんな中、今まで見た事が無かった色の二筋の光が微かに彼を照らし始めた。長い間暗闇に居過ぎた彼には、その微かな光でさえも眩しすぎて眩暈を起こしそうになる。しかしそれは次第に、身体と心をゆっくりと温め治し硬直していた心の筋肉を優しくほぐす様な、そして心をケアする様な感覚に包み込まれる程の光だった。〝生きる意味〟を見つける事が出来ず全てを諦めた筈なのに、世界を断絶していた筈なのに、ずっと独り殻に閉じ籠ったままで良かった筈なのに。心とは裏腹に徐々に思い出していく人の優しさ、温もり。そんな二筋の光によって色が変わり始めた運命に、人並みの幸せを掴みたいと淡い夢を見始めてしまうのだが・・・一つ乗り越えればまた一つ産み落とされる絶望。誰かと手を取り合い生きるのには必ず何らかの理由が必要なのか?幸せを手にするには必ず何かを犠牲にしなければならないのか?悲喜交々の人間世界はどこまでも儚く虚しいだけなのか?そんなわけが無いのに繰り返される暗闇は彼の心をまた揺さぶる。そしてそもそもの疑念点であった不可解な現象の真相に辿り着く事が出来るのか?人の温もりとは自分にとってどれ程大切なのか?彼の凄惨な過去とは?失った夢とは?二筋の光とは?少しずつ光と陰の狭間で蠢く様に見えてくる真実、待ち受けている本当の運命とは・・・。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-02 18:07:44
137363文字
会話率:54%
この町の人はみんななんか速い
最終更新:2023-07-19 12:06:01
591文字
会話率:18%
会社を辞めた事を親に言えず、アルバイトをしながら一人暮らしをしている伊藤公久。
最初は孤独だったが段々と仲間もできて、恋人もできて、それなりに楽しく過ごしていた。
しかし、そんな彼に付き纏うようにやってくる”さよなら”が、彼の心をゆっ
くりと、確実に壊していくのであった…折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-02-01 00:07:16
344文字
会話率:0%
【春編完結。夏編開始!】
女子高生の美咲は、雑貨屋さんを巡るのが趣味。ある日、商店街の片隅に和風の雑貨店【四季堂】を見つけた。「あんなお店、あったっけ?」恐る恐る足を運ぶと、店主の沖常(おきつね)が出迎える。なんと頭には白銀の狐耳が!「素
敵なコスプレですね」と声をかけたら、気に入られてしまった。
【四季堂】の雑貨は、夏の花火みたいな極彩色の絵の具、冬の雪を閉じ込めたスノードームなど、どれも四季の彩りを大切にした逸品。沖常の手作りなのだという。
作品を求めて訪れる神々(狐火、緑坊主、カマイタチ、鬼、花姫、猫娘など)と戯れながら、美咲は心地よく、実は疲れ切っていた心をゆっくり癒していく。
※挿絵があるお話には★がついています折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-12-02 21:55:19
275910文字
会話率:40%
エドワード老公はこれまで二度、主君に裏切られた。
一度目は妻を奪われ、二度目は戦場で捨て駒にされた。
それでも彼はその国に仕え、いつしか『忠義の騎士』と呼ばれるようになっていた。
だがしかし、その忠誠すらも裏切られた。
城か
ら追放された最強の老騎士は、人を信じることをやめ、昔読んだ物語に出てくる『七色の朝日』を探すため、辺境の村へとおもむく。
そしてその村での一人の少女との出会いが、固く閉ざされた老公の心をゆっくりと変えていく……
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-05-10 16:32:01
7555文字
会話率:28%