千年前――私は紫の上だった。
寵愛されながらも、誰かの面影を重ねられ、他の女たちに囲まれながら、私は彼の“心の拠り所”として笑っていた。
愛された記憶は確かにあった。けれど、心のすべてを預けた相手は、私を見てはいなかった。
それ故にいつも孤
独を感じていた。
………それでも私は彼を愛していた。
だからこそ、今生では“影”ではなく“自分”として愛されたい。
そう願った村崎遥の前に、再び現れたのは――
平安文学の講義をする大学教授、朝倉光哉。
彼の言葉、彼の目線、そして、彼の手の温もり……。
あの頃の記憶が、静かに、確かに、蘇っていく。
「今度こそ、君を幸せにしたい」
けれど遥は、微笑んで言った。
「私は、あの頃の私じゃないの」
千年の時を越えて、二人が辿り着く“本当の恋”とは──
■自立した女性 × 贖罪を抱く文学教授
■源氏物語をモチーフにした、切なく優しい現代転生ラブストーリー折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-18 15:08:23
22899文字
会話率:24%
『紫式部が若くして世を去り、〈源氏物語〉が存在しなかった世界』――千年を漂った言の霊は、令和を生きる平安文学研究者・月島紗世子の胸に宿り、彼女を平安宮中へと転生させる。名もなき女房「藤式部」となり、若紫・夕顔など失われた章を和歌で甦らせる。
物語が人々の運命を揺らす責任に向き合い、終章〈夢浮橋〉を書き現代へ帰還するが、魂に残る余韻が彼女を再び筆へ誘う――文学と転生が交差する幻想譚。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-16 13:22:48
6872文字
会話率:10%
藤原摂関政治の全権を手にした藤原兼家は、自分の手にした権力の全てを長男の藤原道隆に譲って世を去った。藤原道隆は弟たちとともに父の築き上げた権勢を継承することを試みるが、予期せぬ死が藤原道隆を襲う。さらに藤原道隆の後を受けた弟の藤原道兼もすぐ
に亡くなり、さらに数多くの貴族達が天然痘に襲われて命を失っていった。
混迷する朝廷にあって、ただ一人健在であったのが藤原兼家の末子で藤原道隆の末弟である藤原道長である。藤原道長は過労に襲われて何度も倒れるが政務を手放すことはなく、全ての責任を一手に引き受けて国家の立て直しを図る。その政務は後世の手本とされるほどに成功に満ちたものであり、敵を許し、全ての言論の自由も認めたことで、源氏物語をはじめとする平安文学が花開く。国外との関係も混迷を脱したものとすることに成功し、藤原摂関政治の、そして、平安時代のピークを迎えることとなる。
本作品は2014年6月より2015年5月まで「いささめ (https://ameblo.jp/tokunagi-reiki/)」にて公開した「平安時代叢書 第十集 源氏物語の時代」を再編した作品です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-10-13 21:24:28
246979文字
会話率:1%
※未完ですが更新終了です。
※旧サイトからの転載。四月編(一)のみ初出2004年、他は2007~2010年に書かれたもの。
とある大学の文学部に、歴史民俗探検部(レミタン)と平安文学研究会(ヒラブン)という、胡散臭さ100%の組織が暗
躍していた。これはその秘められた活動の一端を明らかにするものである。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-08-22 00:57:28
90642文字
会話率:49%
二十七歳、大学院博士課程の卒業を目前に控えた真琴は職探しに追われる日々を送っていた。不採用通知が続き一人部屋で塞ぎ込む中、大学教授である祖母から「大学の講師にならないか」という電話が入る。諦めていた研究者への道が開けたことに喜び勇んで上京
したものの、いざ蓋を開けてみれば求められているのは『女性講師』だと知らされる。祖母から懇願され、真琴は悩みながらも『女装』という条件を飲むことにしたのだが…。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-07-16 23:30:03
117587文字
会話率:55%
平安文学にのめり込む文学少女は、成長して何を思う?
最終更新:2014-11-28 17:05:20
548文字
会話率:25%