ブラック企業の営業部の中堅社員である隠田 智也は、アフリカへの出向辞令を言い渡された。
いざ日本を発つ日が来た。
ところがフライトの途中、機体は予想外の乱気流に巻き込まれ、制御不能となり海に墜落。
隠田は破壊された機内から命からがら脱出する
……。
どうにか絶海の孤島に流れ着いた彼は、助けが来るまでその無人島でサバイバル生活を強いられる。
さすがブラック企業の社畜サラリーマンである。いかな酷い環境であろうとも不平不満も訴えず、自らの力で生活基盤を整えていく。
追い込み漁による魚介の獲得をはじめ、ツリーハウス上の小屋の建築、焼き畑農業、灌漑工事、刳り舟の製作、島のあらゆる場所に通じる道の整備と、大事業が続く。
極めつけはせっかく刳り舟が完成したというのに、島からの脱出を先延ばしにし、トンネル掘りをすることだった……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-06-22 04:00:00
21466文字
会話率:5%
17年前、和歌山県の紀伊大島で、ある老人から罪の告白を聞かさた。
太平洋戦争のとき、人を殺した重い十字架を背負っているのだというが……。
僕は戦争の悲惨さの一端を垣間見た。
最終更新:2023-08-13 08:34:01
3745文字
会話率:12%
三村 大知は現代の浦島太郎を体現したといってもよかった。
彼は『妣島(ははじま)サバイバル研修集団失踪事件』で30年ぶりに生還した1人だった。
政府機関に隔離され、2カ月にも及ぶのあらゆる検査を終え、ようやくこちら側に還ってきたというのに、
心は曇ったままだ。
かつての恋人、波多 真智子をドライブに連れ出し、悩みをぶつけることにする。
真智子もまた、妣島でなにがあったのか母親のように問いかけるのだが、三村は子どもっぽくはぐらかすしかない。
カーラジオから流れてきた音楽番組『大泉 仁志のミュージックG-LOC』でさえ、この集団失踪事件のことについて、あれこれ憶測で発言するほど、世間をにぎわせていた。
ディスクジョッキーたちの無責任なトークに苛立ちを憶えた三村は、ラジオ局に抗議の電話をかける。
応対したディレクターは、むしろ番組人気に火がつくと思い、三村に出演の交渉する。
そして生放送中、三村はスペシャルゲストとしてスタジオに飛び入り参加。ついに政府にも洩らさなかった集団失踪事件での真相を語りはじめる……。
「――まるでトラバサミに挟まれたも同然だった。おれたちは罠にかかったんだ」
三村たちは浦島太郎と同じく、異界へ行き、手厚いもてなしを受けたという。乙姫のような美女との契りまで交わしてしまった。
しかしそれは超えてはいけない一線だった。彼らは罰を受けたのだと告白するのだった……。
奇想天外な現代の龍宮城とは何か? そして謎の腰蓑姿の美女たちの狙いとは?
※本作は夏のホラー2022企画作です。テーマは『ラジオ』。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-08-13 06:12:52
52856文字
会話率:32%