夢だ、と気付く夢で、早桜は、ひとりの少年に「出会う」。風を操る力をうまく扱えないで苛立っている少年、というファンタジィな設定の夢だと「思った」。夢は続き物の小説のように、登場人物や場面を追加しながら、広がっていく。早桜の「助言」をもとに、
男の子は他を圧する超常の力を操るようになり、逞しい青年に成長した。
「これは夢なんだよ・・。」
早桜は夢の中でそう自分に言い聞かせている。
己を見つめる青年の瞳から、目をそらして。
空里は半分透けた、見たことがない奇妙な服装をした少女に出会う彼女の姿は他の者も見れるが、言葉を交わせるのは己だけ。彼女こそ己の運命を導く「風織姫」と見定めた彼の前に、彼女はきまぐれに姿を現す。すっかり自分が大人になっても、彼女は出会った時のままの姿だ。神の姫を手に入れることはできないのか・・・。
これは神の名を預けられ、神と人の狭間で、足掻きながら、誇り高く生きた、最後の「冠」の者と、そのかけがえのない存在となる姫君の物語である。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-16 20:03:59
9309文字
会話率:37%
藤原摂関政治のピークであったはずの藤原頼通政権は終わりを迎えた。それも、後継者の選定に失敗した末での老衰による終わりであった。藤原頼通は死を迎えたわけではなく引退しただけであるが過去の人となってしまった。
藤原頼通の引退後、日本の国政を執る
人はいなかった。後三条天皇は天皇親政を図り大胆な政策を遂行するが、それがこの国を好転させることはなかった。藤原摂関家を継承した藤原師実は父ほどの能力を有さず、藤原師実の子の藤原師通は自己を過大評価して国政をむしろ悪化させていく。
前九年の役を終えた東北地方では平和ではなく戦乱となり、その戦乱は後三年の役と発展してしまう。全ての混乱が収束した後、ただ一人残ることとなったのは後三条天皇の子の白河法皇であった。
本作品は2017年5月より2018年4月まで「いささめ (https://ameblo.jp/tokunagi-reiki/)」にて公開した「平安時代叢書 第十三集 次に来るもの」を再編した作品です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-10-14 07:32:37
269404文字
会話率:1%
藤原道長が世を去り、藤原摂関政治は後継者の藤原頼通のもとに託されることとなった。しかし、藤原頼通は藤原道長の敷いた権力安定路線を歩むことができず、皮肉にも摂関政治の根幹たる皇室との関連性を閉ざしてしまう。
時代は末法思想に染まり、誰もが間も
なく迎えるであろう世の破滅を危惧するまでになっていた。それは藤原頼通とて例外ではなく、苦悩の末に一つの建物を建立させる。宇治平等院鳳凰堂がそれである。漠然とした死後の恐怖は極楽浄土の具現化と言える鳳凰堂の体現によって軽減化されることとなったが、そんな中、東北地方から戦乱の知らせが届いた。前九年の役の勃発である。時代は末法の世ではなく武家の世へと移り変わっていく。
本作品は2016年5月より2017年4月まで「いささめ (https://ameblo.jp/tokunagi-reiki/)」にて公開した「平安時代叢書 第十二集 末法之世」を再編した作品です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-10-14 00:23:46
235439文字
会話率:0%