学生時代からの彼に結婚を待ってもらっていたが、彼の転勤を機にようやく仕事を辞める決心をした矢先、彼の浮気現場に遭遇してしまう。挙式を控え、新天地へ引っ越せば、新たな幸せがスタートすると信じていた彩菜はどん底に突き落とされてしまう。目の前の現
実を受け止めきれず、その場から逃げるしかできなかった。逃げた先はイタリア。彩菜がよく仕事で訪れたフィレンツェ。こんなことしてる場合じゃないのは分かってるけど、現実逃避から中々抜け出せない。そんな中での偶然の出逢いをきっかけに、それぞれの癒しと再生が始まっていく。不思議なご縁に導かれ新たな一歩を踏み出す物語。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-27 19:17:05
7272文字
会話率:69%
田舎を舞台にした青春群像劇。
田舎で幼馴染や家族とそれなりに本人から見ると、平凡な、だが持っていないものから見ればそれは、とてもうらやましいそんな平穏な毎日を過ごしていた、主人公の朝日。
幼馴染と一緒に街に向かうときに、電車で薬と筒状の何か
が入った袋を忘れた女の子にそれを届ける。すると、女の子は迷惑そうに薬を受け取った。
「ありがとう」
明らかに、ありがたそうではなかった。
その後、町をぶらついていると、美術館に入っていくその女の子を見かける。
美術館の前には、17世紀ルネサンス美術展。
思い出したのは、届けた袋に入っていた筒状の何か、女の子を追いかけたときに聞こえた[カラカラ]
という音。
嫌な予感がした、アサヒは美術館へと入り女の子を探す。女の子がいたのは、”大公の聖母”と書かれた絵。その絵を見る彼女はどこか悲しそうで、しかし、悲しみの隙間には恨みのようなものが見え隠れしていた。絵を見ているだけかと、安心した朝日だったが女の子が袋に手を入れて瞬間にアサヒは、女の子を止めに入る。
「何する気なの?」
「離して。」
-----------------------------------------------------
女の子を止めた朝日はどうしてそんなことをしようとしたのか、聞かざるを得なかった。
朝日には、わからないのだ。平均的なしかし、最も完成された幸せが身近にある朝日には、なぜ展示されている絵にスプレーで落書きをしようとしたのかが。
「私は、神を信じていたの。これっていう神様はいないけど、神様が見ているよの神様。だけど、神様を調べてみると、最終的には権力やお金に行き着く。むかついたから、仕返ししてやろうと思って。」
悪びれもなく彼女はそう言った。自分の正義に一ミリも罪悪感が介入する隙はなさそうだった。
「神様…。君は、神様がいないから失望したの?」
朝日は、吸い込まれそうな彼女の深淵のような瞳孔から目をそらせなかった。
「神様にいつか助けてもらう予定だったからよ。」
俺は、その深淵から抜け出すことはできなくなっていた…。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-12-18 00:13:38
8470文字
会話率:34%