静かに、でも確実に、私は終わりへと向かっていた。
身体はもう限界だったけど、誰にも言いたくなかった。
なぜなら私は、最後にもう一度「普通の時間」を誰かと過ごしてみたかったから。
そんなとき、廊下の窓辺に佇む“彼”に目がとまった。
無感情
に世界と距離を取るようなその姿が、なぜかまぶしく見えた。
――私と同じ匂いがした。
だから、声をかけた。
それが、私と彼の最後の春の始まりだった。
図書室の隣の席、放課後の静けさ、意味のないおしゃべり。
ただ一緒にいるだけの時間が、こんなにも愛おしいと知ったのは、その日々のおかげ。
だけど、私の時間は限られていた。
彼に全部を告げる勇気は、最後まで持てなかった。
そして迎えた別れの日。
彼に何も伝えられなかった後悔と、でも“ちゃんと好きだった”という想いだけが胸に残った。
それでも――
彼と出会えたことが、私の短い人生で唯一、光だった。
「君を失って世界が止まった」のヒロイン視点の物語です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-15 08:14:11
3083文字
会話率:6%
アイシア・レイフォルトとルード・アレクティオは『政略結婚』をしただけの、ただ一緒にいるだけの関係である。
最終更新:2022-06-25 09:57:08
2986文字
会話率:31%
恋人からの暴力に傷つく私が、ある晩偶然に出会ったのは、名前も教えてくれない年下の男の子だった。
彼の秘密と恋人の執着に怯えながらも、惹かれていく心は……止められない。
あなたは誰ですか。
どうして私の前に現われるの。
私のこと、
本当はどう思っていますか……?
厳しい状況の中、不安に怯える心は次第に彼でいっぱいになって……
【あらすじ】
恋人の過度な束縛から、ようやくのことで逃げ出した夜――真実は夜の街で不思議な少年と出会う。
誘われるままでかけた真昼の海で、今の自分はどれだけ苦しい状況なのかを再認識する。
毎日ふらりと真実の前に現れる少年は、素性はおろか名前さえ教えてくれない。
『海』と名付けた彼と過ごすうち、真実は失っていたものを一つずつとり戻していく。
大学生活、将来の夢、家族との絆、友人たち――。
ただ一緒にいることが楽しくて、幸せで、この日々が続くことだけが望みなのに、周囲には常に不穏な影がつきまとう。
「明日また」という小さな約束だけで、他には何も確証がない海との関係も、時折とても調子が悪そうな彼の様子も、真実を不安にさせる。
大きな秘密を抱えているらしい海の事情に、気づかないふりをして、それでも無視できなくて――。
葛藤を越えた先で手に入れた答えに、真実が得るもの、失うものとは――。
※『それでもキミに恋をした』の真実視点です。
個別にお楽しみいただけますが、あわせて読んでいただけば、それぞれの心情がより理解できるかと……
よろしくお願いいたします。
※ この作品はカクヨム、アルファポリス、エブリスタ等他サイトにも重複掲載しております。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-05-14 21:00:00
224287文字
会話率:22%
高校に入学したばかりの水野瑠衣(みずのるい)は入学してから何度も同じ夢を見ていた。
その夢は大きな桜の木の側で寂しそうに立っている少女の姿が見えるものだった。
そんな中瑠衣は部活動を何にするかどうかを悩んでいた。その時に入学してから知り
合った剣持勇(けんもちいさむ)ことユウの言葉で一筋の光が見えた。
自称情報通のユウの話では生徒会長に良くない噂があるようだった。ユウは僕が生徒会に入る事を止めて来たが、僕は逆に興味を抱いてしまった僕はそんなユウを横目に生徒会に入る事を決めた。
そこで出逢ったのは生徒会長でもあり、瑠衣の夢に出て来ていた少女、篠宮皐月(しのみやさつき)だった。
皐月と言葉を交わしているだけでは無く、ただ一緒にいるだけでも胸の鼓動が早まっている事に気が付いた瑠衣は生徒会の顧問である能登(のと)先生に自分の気持ちを正直に話した。
すると能登先生にその気持ちは恋だという事を教えられた。『恋』というものを知らずに生きて来た瑠衣はこの気持ちが本当に恋なのかどうか悩む事になる。
そんな風に悩んでいる間にも瑠衣はどんどん皐月に惹かれていった。そんなある日、皐月の悪い噂がとある生徒による復讐だった事が判明する。
その一件があったからという訳では無いが、瑠衣の親友であるユウとユウの幼馴染である橘楓(たちばなかえで)が生徒会に加わり、文化祭や体育祭といった行事を運営していった。
そんな生徒会役員と先生による生徒会を舞台にした話。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-09-21 21:00:00
128731文字
会話率:50%
俺はリビングアーマーだ。俺は昔、ブルブル震えてる人間の子供の霊を拾った。その子を鎧の中に入れてたら取れなくなっちまった。人間に擬態した俺達は、今日もいつものように冒険者ギルドへ向かう。(同名の短編を基にした連載版です。たまにSFで宇宙とかだ
ったりもします)一話完結型。更新は不定期です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-12-07 11:28:58
10568文字
会話率:23%
俺はリビングアーマーだ。俺は昔、ブルブル震えてる人間の子供の霊を拾った。その子を鎧の中に入れて保護してたら取れなくなっちまった。人間に擬態した俺達は、今日もいつものように冒険者ギルドへ向かう。
最終更新:2019-05-12 14:59:43
1715文字
会話率:25%