自然の化身と呼ばれる存在、竜。彼らは絶滅へと向かっていた人たちの国の近くに現れた。
最北端の竜の周りには植物が生い茂り──
最南端の竜の周りには鉱石が生成され──
北西の竜の周りには動物が産まれ──
南東の竜の周りには
統制が生まれた。
それぞれの竜は恵みをもたらす。そうして崇められた竜の中に、妙な竜がいた。
人を愛し、人と笑い、人の死を泣く竜がいた。心を持つ竜であった。
大陸の中心にある人間の国──帝国の守護神とされたそれは、慈愛の象徴として愛され、幸せを感じていた。
しかし、両者の時の流れの早さは、慈愛の竜が生きている間にその存在価値を疑う者が現れるほどかけ離れたものだった。
彼は悲しんだ。慈愛に満ちていた人間が悪意に蝕まれることを。
慈愛の竜が現れないのをいいことに、竜の住処にはあらゆるものが捨てられた。
愛・幸福・笑み・死骸──そして、子供。
慈愛の竜は、希望を込めて子を育てた。失敗を重ね、たくさんの子を犠牲にしたが、諦めず愛し続けた。
最後の子は心優しい者に育ち、竜は生きがいを感じ、そして心残りを疑わなかった。
人間の子と時の流れを同じにするほど衰弱に蝕まれた竜は、子供の悪意に耐える心をこしらえるために、自分の死を誤魔化すために、悪意を込めて住処から子を追い出した。
子は悲しみ、しかし竜を愛していた。
物語が好きだった子は、帝国での竜の扱いに悲嘆し、そして竜の優しき心を物語にすれば、再び竜は愛されるのではないか。
子は旅を始めた。竜に会い、人に会い、紡ぐ。慈愛に満ちた竜の物語を。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-01-22 16:24:04
14343文字
会話率:12%
聡は街へ行くために久しぶりに列車に乗る 窓を流れる景色 それを眺めながら思い出す あの日のひと時
最終更新:2021-01-20 22:58:45
9685文字
会話率:89%
伝説の老兵、成瀬哲郎は老衰で死にゆく間際に昔救う事のできなかった少女の事を思い出す。
そして心残りを抱えたまま死んだ哲郎は「神」となのる声を聞き、少女が別世界で死にかけている事を聞かされる。
いてもたってもいられなくなった哲郎は神に「私に助
けさせてください」と頼み込み異世界へと転生したのだった。
そして、異世界で無事再会を果たした老兵と少女。老兵は孤児だった少女を幸せにするために奮闘するのだった。
老兵哲郎と少女ソフィアの織り成す温かくも大変な異世界での生活をお楽しみください
※挿絵は全て作者による落書きですので恐らく九割ソフィアになるとおもわれます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-10-31 13:53:32
134796文字
会話率:60%