プロローグ
―ショーケースの向こう側―
ガラス越しに並ぶケーキたちは、まるで誰かの物語の断片のようだった。
とろけるように柔らかなモンブラン。
少し背伸びをしたくなるような艶やかなチョコレートタルト。
苺のショートケーキには、どこか懐か
しい笑顔がよく似合う。
白井菫(しらい すみれ)、21歳。大学では栄養学を学びながら、週に数回、小さな洋菓子店でアルバイトをしている。夢はある。でも、その輪郭はまだ曖昧で、未来に立ちすくむ日もある。
その男の人が最初に店に来たのは、4月のまだ風が冷たい頃だった。
黒いスーツにグレーのコート。ネクタイは地味で、髪には少し白いものが混じっていた。年齢は――きっと、自分の父より少し若いくらい。何も語らず、ただ「おすすめを一つ」とだけ言って、指差したケーキを買って帰っていった。
それが彼女と彼の、最初の「会話」だった。
彼は毎週、同じ曜日、同じ時間にやってくる。
そして彼女は、少しずつ「おすすめ」を選ぶのに時間をかけるようになった。
どんなケーキを渡したら、あの人は少しでも笑うだろうか。
そんなことを、ほんの少しだけ考えるようになった。
ケーキと沈黙のあいだに芽生えた、静かな関係。
これは、「ショーケースの向こう側」にいるふたりが紡ぐ、ちいさな物語。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-23 01:42:12
7948文字
会話率:28%
毎月22日はショートケーキの日なので、昔考えたショートケーキと苺の擬人化ちゃん達の出会いを短編で書きました。
最終更新:2022-02-22 00:10:30
604文字
会話率:0%
「俺達、BLごっこしない?」弘樹のこの言葉をきっかけに雪夜と弘樹は一ヶ月という約束でカップルになる。最初は遊びのつもりだったが…。人の感情を洋菓子に例えたBLストーリー。
最終更新:2019-06-07 18:27:03
2977文字
会話率:0%
私の幼馴染は学校の人気者である。
最終更新:2016-12-18 04:38:17
2353文字
会話率:8%
苺のショートケーキ。いかに食うべきか?
最終更新:2016-07-29 06:56:41
3569文字
会話率:40%
中学生になった桂木晴香はお小遣いとして千円を貰った。その千円で母の誕生日プレゼントとして、苺のショートケーキを買うことにする。
晴香は、千円で家族分が買える値段のケーキを探すのであった……。
「英世ーー!!」
暇つぶしにでもど
うぞ!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-02-18 21:32:04
6657文字
会話率:26%
この春、高校に入学を果たした僕。
――それから数日経ったある日の午後。僕は学校を終えて帰宅すると、小腹を満たすために入学祝いのケーキを食べた。
あとは、ベッドの下に隠してあるコレクションを読んだら、晩ごはんを待つばかり。それを食べて風呂にで
も入れば、いつもの一日が終わる。
なのに、いつからだろうか。『僕が苺のショートケーキになってしまったのは』。
※詳細あらすじは3部以降に記載します。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-01-04 06:14:52
3473文字
会話率:16%
苺のショートケーキのため繰り返しの現在を過ごしている少年のはなし。
ただの苺のショートケーキのはなしだけど少しシリアスかもしれません。
短編のはなしです。
最終更新:2011-04-02 16:23:51
2167文字
会話率:26%