これは、有ったかも知れないし無かったかも知れないが、多分無かったであろう日本近現代史の一ページ。
平成2年(西暦1990年)、バブル崩壊。時を同じくして、東西ドイツの統一、ソ連崩壊と、国際秩序の激動までもが日本を襲い、国会は混乱の坩堝(
るつぼ)へと叩き落とされる。
こうした中、不透明な国会審議を経て、二つの法案が可決される。地方自治体に行政権限の大部分を移譲する『超・地方分権促進法』と、警察機関以外の自衛組織に武器の所持、使用を認める『自主治安維持支援法』である。
表向き地方自治と治安向上を目的として制定されたこれらの法律により、地方自治体は徴税を含む行政サービスを一手に引き受ける事となり、同時に、民間人が武器を保有する事が日常化する。その結果、日本全国で様々な利権、係争案件を巡って、自治体や法人、武装組織による衝突が常態化。
――後に『第二次戦国時代』と称される混迷の時代の到来である。
時は流れ、詠録3年(西暦2021年)。各地の境界線は行政区分に過ぎないものとなり、様々な権力体が複数の都道府県にまたがって統治を担う、群雄割拠の体を成していた。
その中にあって関東地方に仮初(かりそめ)の安寧をもたらしていたのが大企業による『三強連合』――甲信の実権を握る『武田建設』、首都圏の胃袋を担う『北条フーズ』、東海地方でファッション・ラグジュアリーの総合プロデュースを展開する『IMAGAWA』の相互支援協定である。
これにより、三社の統治下における衣食住の心配はほぼ不要となり、市民は比較的安全で豊かな生活を謳歌していた。
5月19日、『桶狭間インシデント』と命名された重大事故によって、『IMAGAWA』のCEOである今川義元と重役多数がこの世を去るまでは…。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-01 03:04:38
8889文字
会話率:50%
島加奈子と言う大企業の社長夫人と、藤本弘樹と言う中小企業の工員。 二人の人生は複雑に絡み合い、そして……
※9月26日~10月3日は両名のストーリーを交互に書きます。
最終更新:2021-10-06 19:00:00
54826文字
会話率:40%
どこか遠い世界……その世界は未だ神への信仰がその中心で、甲冑をまとった騎士が戦争の主力だった時代にあった。貧富の格差が激しい国家、ブランダ王国の名門貴族の息子、シャルル・フロベールはある日突然父親から勘当を言い渡される。家を追い出され、路
頭に迷った彼が出会ったのは、人の姿をした死神だった。「元」貴族の愚か者と心を失った死神の旅が、今、始まる。
※矢口様が描かれたイラストを挿絵として掲載させていただきました。ありがとうございます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-03-18 03:25:34
429114文字
会話率:50%