目を覚ましたとき、自分は“ヒト”ではなかった。
記憶も名前もなく、成り果てたのは、触手が生えた奇怪な箱のような体。
けれどもその体には、他の生き物を取りこみ、姿や記憶を擬態する力があった。
それを手がかりに、迷宮を抜けて外の世界へ出たとき
、深く傷ついた女エルフと出会う。
彼女が伝えるのは、切なる願い。
それを継いだ“何か”は、森に残されたひとりの少女を守ることを選ぶ。
自分は誰か? 人とは何か?
名も答えもないまま、ただ、守りたいという想いだけを抱いて――“わたし”は歩き出す。
姿も心も偽りのまま、それでも“本物”になろうとする。
擬態する者の、静かな異世界譚。
※本作は全15話で第1部完結予定です。
週3回(月・水・金)を目安に更新していきます。
※【カクヨム】に同時連載中。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-06 20:00:00
7886文字
会話率:4%