日本の地方私大で二年生男子の岩瀬は、『回転体眩惑症(かいてんたいげんわくしょう)』なる病気に高校時代からつきまとわれていた。回転する物体を見つめ続けると、無意識に自分の身体を回転させてしまう奇病だ。
精神科で処方される薬を内服すること
で日常生活に支障はないものの、岩瀬は誰に対しても一歩引いた形で接していた。
そんなある日。彼が所属する学内サークル『たもと鑑賞会』……通称『たもかん』で、とある都市伝説がはやり始める。
『たもと鑑賞会』とは、橋のたもとで記念撮影をするというだけのサークルである。最近は感染症の蔓延がたたって開店休業だった。そこへ、一年生男子の神出(かみで)が『ホラフキさん』なる化け物をやたらに吹聴し始めた。
一度『ホラフキさん』にとりつかれると、『ホラフキさん』の命じたホラを他人に分かるよう発表してから実行しなければならない。『ホラフキさん』が誰についているかは『ホラフキさん、だーれだ』と聞けば良い。つかれてない人間は『だーれだ』と繰り返す。
神出は異常な熱意で『ホラフキさん』を広めようとしていた。そして、岩瀬はたまたま買い物にでかけたコンビニで『ホラフキさん』の声をじかに聞いた。隣には、同じ大学の後輩になる女子の恩田がいた。
ほどなくして、岩瀬は恩田から神出の死を聞かされた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-11 23:37:05
108299文字
会話率:51%
※初めてお読みになる方は、修正版を逐次更新しておりますので、そちらでお読みください。本編では、誤字、脱字、寝ぼけて意味不明な文章、少々非論理的になってしまった部分など、そのままにしている箇所もありますので。(修正版・辺境の墓標)http:/
/ncode.syosetu.com/n5921df/
北海道東部(道東)を舞台にした、近現代史も絡めた長編推理小説になります。史実と創作の合作によるミステリーです。名作「飢餓海峡」「砂の器」、そしてテレビゲームソフトにおける推理モノの金字塔の1つである「オホーツクに消ゆ」にヒントを得た作品です。
タコ部屋労働で有名な「常紋トンネル」付近で発生した死亡事案から、思いもかけぬ過去の事件に巻き込まれていく、地方の所轄刑事の物語となります。戦前から戦後、そして現代に至るまでの事件、事故と複雑に絡みあった事件を全国各地を捜査しながら、そして時を超えた推理を交えながら物語は進んでいきます。純粋な単独作で100万文字を超える作品ですので、読む側としてもかなりの根気を必要とする作品になってしまっているかもしれませんが、「どんでん返し」や「奇抜なトリック」ではなく、必然性という点を重視した作品となっておりますので、結末にはそれなりに納得していただけるものと考えています。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-11-03 07:00:00
1902227文字
会話率:49%