ある雨の街角に、傷ついて地に横たわる小さき者をみつけた。私は護衛と馭者、私を監視する者に言う。
「この者を私の邸へ運びなさい。否やは聞かないわ」
護衛のダドリーは小さき者を抱えたまま馬車に乗り込む。私はそのまま座るように命じた。運転は監
視者と馭者がいれば十分だ。
馬車は再び酷い雨の中を走り出す。
私は確かに公爵家の娘だけれど、愛人と本邸に住まう父から嫌われて別の場所で暮らしている。本邸からかなり離れた森の中の家だ。
母はもうとっくに父に愛想を尽かし、離婚できないならと外国に渡っていた。愛する護衛騎士と一緒に、語学を学ぶ為だと言って。その彼との間に娘がいるらしいが公爵家では認知されていない。下手に騒げば全員いなくなることだけは理解しているらしい。
だから私のまわりには護衛1人と侍女1人、馭者1人、他に父が私に付けた執事と言う名の監視者が1人いる。
そして今日。
先ほど拾った小さき者を邸に入れた。
彼女の体は冷たく虫の息だ。
弱りきった痩せた体で雨に打たれていたのだ。
そうなるのも当然のこと。
護衛のダドリーは治療の心得があるから対応を任せた。
彼は妻である侍女マリアに濡れた体を拭かせ、着替えをさせた。小さき者は意識がなく脱力したままだったが、それをものともせず丁寧に身なりを整える。
ダドリーはその間に湯を沸かし、解熱剤と湯タンポを作っていた。薬草を潰した薬汁をガーゼで口に含ませる。飲み込めないから、舌で吸収させるだけだ。そして冷たい体を保温することに努めた。
あのままでは確実に命を落としていたはずの小さき者は、この日一命を取り留めたのだ。
今日のこの出会いが、2人の運命を変えていくのだった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-28 19:02:16
46907文字
会話率:28%
王太子ルールリアと結婚をして7年目。彼の浮気で、この世界が好きだった、恋愛ファンタジー小説の世界だと知った。
「前世も、今世も旦那となった人に浮気されるなんて」
悲しみに暮れた私は彼に離縁すると伝え、魔法で姿を消し、私と両親しか知ら
ない秘密の森の中の家についた。
「ここで、ひっそり暮らしましょう」
そう決めた私に。
優しいフェンリルのパパと可愛い息子ができて幸せです。
だから、探さないでくださいね。
『お読みいただきありがとうございます。』
「浮気をした旦那様と離縁を決めたら。愛するフェンリルパパと愛しい子ができて幸せです」から、タイトルを変え。
エブリスタ(深月カナメ)とアルファポリスで掲載中。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-26 10:16:19
131140文字
会話率:45%
シャーロットはランシェル王国の王城で働く侍女だ。
月に一度のお休みの日は朝早くお城を出て実家へと向かう。それには理由がある。
「両親が帰って来ているかもしれない」
毎月そう思いながら遠くの家まで早足で帰る。そんなシャーロットには彼女自
身も知らない大きな秘密があった。秘密を知らないままシャーロットはお城で働き続ける。
美しく働き者のシャーロットは城の中で注目を集め始めるが、シャーロットは今は男性に心を動かしている余裕がない。帰ってこない両親を待ち続けているし、仕事をこなすのに精一杯だからだ。
『両親はどうして帰ってこないのか』
心を重く塞ぐ疑問を抱えながらひたむきに働くシャーロット。彼女のお城や森の中の家での暮らしぶり、出会う人々との心温まる交流が描かれます。
おとなが読む童話です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-03-31 06:00:00
202900文字
会話率:51%
森に置き去りにされた少女は、首の無い異形の男と森の中の家で奇妙な共同生活を共にする。
最終更新:2018-03-09 22:52:58
4554文字
会話率:17%
乙女ゲームのヒロインに婚約者を取られた彼女は一人のハイエルフに捕まった。
獣のようだと彼女を面白がり笑う彼のことを彼女は何も知らない、気づかない。
彼だけが楽しそうに笑っていた。
最終更新:2017-03-06 09:59:51
3340文字
会話率:37%