「革命のファンファーレを拝聴させてやる、女」
――その天使は、あらゆる技能に置いて、“二番目”になる才を有する。
王たるべくして生まれた彼は、天賦の才にて全てを凌駕するも、あらゆる分野に置いて、決して一番にはなり得なかった。
全てが出
来るも、突出した“個”を欠落させた彼、
魔法の楽園より来たりし天使の名は――
「この――ギルリート・ヴァルフレアがな」
私達はただ、生きることに必死だった。
ある日、ある時、山が吹き飛び、海が干上がった。それが第三次世界大戦に置ける最終局面――“核兵器”の応酬による結果であった事を、私達はずっと後に知った。
貧しい資源。僅かな食料。焼けた大地。衰退した文明。荒廃した世界……
人類滅亡の危機を目前にしながら、僅かに生き残った人間達は、助け合うのではなく、奪い合う道を選んだ。
暴力が暴力を呼び、いとも簡単に奪われる命。騙し、貶めて昨日の友を食い物にする。そうで無ければ生きられなかった。
尊厳、倫理――そんなものは、力だけが物を言うこの暴力時代に置いて、遥かな昔に擦り切れてしまっていた。
そんな世界の混沌に、私の信じる“天使”が舞い降りた。
「闇に光が咲くからといって、光に闇が咲く事は出来ない。この闇は、闇の中でこそ開くのだ……より濃密な暗黒として」
その天使は、神々しいまでの清純さとは掛け離れ。
言うなればまさに――“悪のカリスマ”であった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-01-07 20:26:47
31567文字
会話率:53%
二十年前、「大厄災」が起き、怪人により何百万もの人々が殺された。
七十年前、広島の悪夢での死者数ですら十数万人。それだけの数の人々が、なんの全長もなく命を奪われ、全人類は絶望の淵にあった。
だがしかし、人類はただ死を待っていたわ
けではない。
数多の怪人たちを倒し、人類を滅亡の危機から救った英雄たち。彼らこそが、人類にとって、最初の「ヒーロー」だった。
彼らを始めとするヒーローの活躍により、大厄災は終わりを迎えた。今でも怪人は発生し続けているが、彼らの活躍に感化された多くののヒーローたちのおかげで、被害はそこまで大きくなっていない。
正義は勝ち、悪役は敗れて、みんな仲良くハッピーエンド。その常識は、もはやコミックの中だけのものではない。
それでも毎日、怪人による死者は出続けている。理不尽に奪われる命の数をゼロにし、怪人を駆逐する…、それが、世界中のヒーローたちの共通の願いだ。
しかし、一人の少年は、コミックの世界を体現したかのような現在に対し、こう呟いた。
「理不尽じゃないか…」
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-11-23 17:41:30
4536文字
会話率:42%
東日本大震災の日に大切なものを奪われた中に生きる希望を持って生まれてくるものがある……。
拙作は大橋 秀人様主催の「3.11 震災復興支援企画【スマイルジャパン2016】」に参加させていただいた作品です。
最終更新:2016-03-22 15:00:00
389文字
会話率:0%