継母と義姉たちに亡き父の遺産をうばわれて、帝国を追放されたセナは、隣国である王国の高級リゾート地で、ホテルの客室係として働いていた。
ある日、幼馴染だった帝国貴族のミアがホテルに宿泊し、いきなり病に倒れ伏してしまう。
友人として仕事
の合間にミアの部屋へと、たびたび顔を出していたセナは、親友から驚きの贈り物を受け取る。
「自分は参加できないから貴方に貰って欲しいの」、と渡されたそれは、このホテルで開催される仮面舞踏会のチケットと仮面、そして豪奢なドレスだった。
スタイルも容姿もよく似ているセナは、確かにミアの代理を務められそうだった。
かつて馴染みのある社交界に、今夜だけでも戻ることができる。
セナは内心で嬉しさがこみ上げてくるのを、抑えきれないでいた。
噂では王国の王太子殿下の妃候補を選ぶ場所でもあるらしい。
新聞やホテルのロビーに飾られている人物画で見知っただけの彼に声をかけられたとき、セナの心は思わず、踊った。
一夜だけの夢を見ても許されるでしょう? と、誰かに問いかけたくなるほどに。
ダンスを踊り、雰囲気とシャンパンの勢いとともに、セナは彼に身も心も捧げてしまう。
そして一夜が明け、普段の自分にもどる時間がやってきた。
セナは正体を知られる前に、彼の元から姿を消す。
王太子ロバートの秘密を宿しているとも気づかずに。
〇前半をヒロインと殿下との出会いとしているため、ヒロインが不遇になった理由などは中盤になっております。
継母と義姉たちへのざまあ回は、後半のラスト近くなりますが、ヒロインにはハッピーエンドを用意しておりますので、お付き合いいただけると幸いです。
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折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-10-03 23:13:24
160758文字
会話率:31%
「俺」マルティンは(確か婚約者のはずだった)妻、エディットに離婚を切り出される。
そんな訳はない、と彼は自分が結婚していた事実を受け容れられない。
だがエディットは手続きをどんどん進める。理由は「種無し」ということだった。
しかも自分が婿に
入っていて、一年間きちんと夫婦の義務を果たしてきたけどまるで「旦那様」であるエディットが妊娠しないからだという。周囲も言う。百年前から女性の数がぐっと減ってしまったので、当主は女で、その相手は誰でもいいのだと。そう、周囲に居たのは彼の後釜だった。
彼は多少の金と小さな住処だけを与えられ、追い出される。
そしてかつての恋人、自分の記憶では、婚約破棄をしてでも添い遂げるつもりだったウルスラと出会いショックを受ける。
夢なら良かったのに…… と思った彼だが。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-05-03 08:19:51
8440文字
会話率:31%