十一世紀のヨーロッパで、ある公爵家の令嬢が婚約破棄すれば、十五世紀のジパングを統治している「傾国の将軍」に心を改めさせるくらいの影響を及ぼす。
発端は、地球人駆除の任務を帯びた一匹の蝶系統動物が「ネイムレスの蝶系統動物効果」と命名された
作戦を始めたこと。
最初にノルマンディー公爵家令嬢のアデライードが、生化学物質による作用で虫の居所を悪くしてしまい、アンゲラン‐ポンチューとの婚約話を反故にする。そして兄妹喧嘩が引き起こした「ノルマンディー家の騒動」を経て、二十年のうちにアデライード合衆国が誕生するに至る。
その後、およそ四百年が過ぎた頃、アデライード合衆国の従属国になっているジパングでは、征夷大将軍の地位にある足利義政公が、将軍職そっちのけの酷い状況に陥っていた。黒雲寺の三休さんを毎日のように呼び出して、頓智勝負を挑んでいるのだという。
義政公と三休さんの「頓智九番勝負」が大波乱となり、義政公が改心して、ジパングの評判がよくなる。後花園上皇は喜ぶけれど、悪い予知夢を見てしまう。全世界学者にして錬金術者でもあるパンナコッタ‐ポンチューに打ち明けたところ、おそろしい陰謀によってジパングだけでなく、この世界全体が滅亡の危機にあるのだと知らされた。後花園上皇は、息子の後土御門天皇に「伝家の宝刀」を与える。宝刀を手にした後土御門天皇が覚醒状態に達した。パンナコッタ、後土御門天皇、三休さん、藤原富子の四人で「室町カルテット」という集団を結成する。
ジパングおよび世界を救うために、室町カルテットが地球の世界史を塗り替えようとした。しかしながら、「全世界管理者」を名乗る存在者に不備を指摘され、四人は二十世紀まで冷凍睡眠させられ、改めて「世界史の塗り替え任務」に就かなければならない。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-22 15:40:41
32552文字
会話率:64%
天皇位は男子が継承するものであり、そのためには、藤原摂関家は入内させるべき女子と、摂関家を継承する男子がいなければならない。大層難しいことである。
最終更新:2024-08-21 00:02:05
444文字
会話率:0%
「これが、噂の『虎屏風』ですか?」
「ええ、その通りです」
虎の屏風とは名ばかりで、そこにはただ、何の変哲もない竹藪が描かれているだけでした。よくよく観察してみると、絵の中の地面には大きな動物が抵抗しながら無理やり引き摺られたかのよう
な足跡が残されていました。私はそこまで本格的に絵画鑑賞を嗜んではいませんが、後から適当に付け足して描かれたものでないのは確かです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-08-08 20:04:24
1757文字
会話率:39%
凶悪な魔物を相手にしても、恐れず無手で戦う女。自分よりも何倍かという大きさの敵ですら、理を手に掴んで投げ飛ばす。背中には切先の無い折れた剣。かつては、神聖な力を宿した伝説の神器。現在は聖なる力も失い、ただ丈夫なだけのモノと成り果てている。彼
女が素手で戦うのも、折れた聖剣を背負っているのにも、理由があった。瞳には罪と罰を宿し、その眼差しは贖罪への道を辿る。見据えるは長く険しい魔王討伐という道程。
「セツ子さん、どうして勇者でもないアナタが抜こうとしたのよ! 本気で抜けると思ったわけ!」
「そう、やれそうな気がしたんで、本気だしたら抜けた」
「抜いてねーよ! 折れたんだよ! つい折ったと言えば許されると!?」
「え、違うよ。ちゃんと折るつもりでやったよ。どうしても抜けないもんだから最後に我慢できなくて」
「駄目よね、無理矢理なんて。ちょっとは考えなかったわけ?」
「うん、私とんち系のクイズって苦手だから、考えても分かんなかった」
「諦めろよ! 封印は頓智じゃねーよ、資格の問題でしょ」
「だって勇者なんていつ現れるか分かんないじゃん。ならワンチャンあるかもって」
「そのふざけた一回のせいで未来永劫に失われたのよ…聖剣と女神の加護がなければ魔王に勝てない。人類はおしまいよ。どうするつもり?」
人は皆、なんらかの罪を背負い生きていく。
伝説の聖剣を折りし、彼の者の名は白柳折子 “シロヤナギ セツコ”
勇者(便宜上そう呼ぶしかない)セツ子。
彼女には、償わなければならない、やや大きめの過ちがあった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-06-25 20:11:52
57626文字
会話率:41%
とある村の用心棒、頓智喜左衛門(とんちきざえもん)と名乗る者が、世のありようが邪悪な妖魔の手によって恐るべき跳梁跋扈社会に変わりつつあるという誇大妄想を抱き、主観的真実を世に広める旅に出て、様々な冒険をするファンタジー伝奇作品。
最終更新:2016-11-16 21:39:13
33910文字
会話率:23%