目覚めたのは、午前5時47分。
覚えているのは、「紙がめくられる音」だけだった。
六年住んだマンションで、はじめて見る“張り紙”。
書かれていたのは「管理人」からの注意書き。
――だが、このマンションに管理人などいない。
少しず
つ狂い始める生活。
ドアの角度、時計の時間、鏡に映る自分の動作……
そして、俺の部屋には“俺の記録”が置かれていた。
「観察対象No.4 佐倉悠真」
誰が観ている? なぜ記録されている?
このマンションには、“観察者がいない”ということだけが確かだった――。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-01 13:35:20
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