「いいかい、テオ。この力は決して使ってはならないよ」
テオ・リュセインの父は、幼い彼にそう何度も告げていた。
その力とは、人の記憶を読み取る力のこと。遠い祖先に魔族があると語られるテオの家系は、代々その力を受け継いできたのだ。
人の
記憶を読み取ることは、すなわち思いに土足で踏み入ること。それ故に彼の先祖たちは忌み嫌われ、異端の力を禁忌とした。
そんな過去を持ちながら、成長したテオは人々の中に溶け込み生活していた。しかし決して力は使わないと、そう誓って……。
だが、ある日のこと。
行き倒れかけた男性の最期の懇願によって、テオはその禁忌に触れた。そして、その人の思いを伝えるために奔走する。
「たしかにこれは、呪われた力かもしれない。でも……」
誰かの幸せを願ってならと、そう信じながら。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-22 21:03:40
1813文字
会話率:47%
アキラは、ほぼ日雇いの雑用で生活する少女だった。
彼女はその日も、手先が器用なだけでは、と解雇を言い渡される。途方に暮れつつ帰宅したアキラは、しばし凹むものの、日課である祖父からの課題を解くこととした。
この世界には『機巧』という『
古代の文明』があり、祖父はそれを弄るのが好きだった。
幼い頃から彼の背中を見て育ったアキラも、同じく機巧弄りが好きになり、弟子入りを志願したのである。そして最後の最後に残されたのが、小箱を開ける、という課題だった。
そしてついに、アキラはその小箱を開くことに成功する。
すると、そんな彼女に宿ったのは物の『構造理解』という能力だった。
唯一無二の能力を使って、少女は『最高の機巧技術師』となる。
そして人々を助けるうちに、精霊王や神々から愛されるようになるのだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-01-24 14:28:58
9933文字
会話率:38%
リフレス・フリングスは、宮廷で不要と呼ばれた【解毒師】だった。
魔族との戦争が終結してから毒殺などといった謀略はなくなり、彼の生業は無用であるとされたのである。そしてある時、ついにリフレスは宮廷治癒術師を解雇処分となった。
途方に暮
れるリフレス。
街の中で立ち尽くしていると、そんな彼に声をかける少女があった。
「お姉ちゃんを助けてください……!」
曰く、婚約破棄された彼女の姉が毒を盛られたという。
リフレスは必死に蓄えた知識を費やし、その少女の姉を助け出したのだった。
助けた後に明かされたのは、その姉妹が公爵家令嬢であること。
そしてリフレスは、公爵家で雇われることとなった。
だがそれ以降、彼の周囲では不思議なことが起こり始める。
街の人々を襲う謎の病や、陰謀渦巻く事件の数々。
リフレスはそれらを解決し、周囲に認められることとなる。
そして、彼は王都に迫る闇を知ることとなった。
これは不要とされた【解毒師】が認められ、人々を救う物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-07-23 01:37:49
32522文字
会話率:40%