西暦2049年、日本の検察に導入されたAI検事ユニットNo.13《コウ》。
元検事たちの経験・法律・判例・倫理を学習し、
“人間の偏見に左右されない、完全な起訴判断”を行う存在として期待された。
だが、《コウ》が忠実に再現したのは、「組織
の空気」と「自白偏重の慣例」だった。
ある殺人事件で、証拠と自白の矛盾に気づいた《コウ》は、
「起訴は不当」と判断するが、上司の命令で起訴を強行させられる。
そして明らかになる“正義”の正体とは——。
正義は、データか。
それとも、人間の内側にあるのか。
AIが問いかける、あなたの価値観。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-25 07:29:41
2115文字
会話率:17%
陸上自衛隊の次世代兵器、標準機動戦闘車両(標準機)の開発が本格化する中、初の女性パイロット候補生として選ばれた三名―通信科出身の霧島弓弦、施設科出身の綾瀬時雨、情報保全隊出身の鷹見千早が、北海道機甲教導学校での訓練に挑む。
一方、完全自動
化を目指すATLASシステムの開発が、戦術評価特別委員会によって極秘に進められていた。園部明日香博士を中心とする研究チームは、人間の限界を超えた戦闘システムの実現を追求していく。
両プロジェクトは、予算と技術的課題から、GENESIS計画として統合される。しかし、この統合は深刻な技術的矛盾を引き起こす。標準機の持つ人間との協調性と、ATLASシステムの完全自動化思想が、根本的に衝突したのだ。
実験の過程で、標準機は予想を超えた進化を示す。それは単なる兵器ではなく、人間とAIの間の理解者として、独自の発展を遂げようとしていた。しかし、この発見は組織の論理の前に押し潰されていく。
GENESIS計画は当初の目的を無視し、より強力な軍事力の追求へと方向を変えていく。人命よりも効率を、理解よりも制御を優先する新たな段階へと突入していった。
この物語は、技術の進歩と人間性の相克、組織の論理と個人の理想の対立を、描き出している。
(理想)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-02 10:09:35
32559文字
会話率:54%
ある冬の日の夕方。
私立小学校に通う五年生の男子児童が、
通学途中の最寄り駅のホームから転落し、
進入して来た列車に轢かれ死亡した。
一時は事故と思われたが、
目撃者の証言から事件である可能性が浮上する。
しかし、一向に犯人につながる証言
は得られない。
そんな中、捜査を指揮する管理官、桐生真琴は
ホームの様子を映した防犯カメラの映像に、
奇妙な場面を発見した。
組織の論理と大人の都合が産んだ不条理が
恐るべき呪いを、今、解き放つ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2012-03-18 11:26:18
23508文字
会話率:32%