特殊な力を受け継いでいるといわれるアンダーソン公爵家の令嬢サエ・アンダーソンは、この日宮殿の階段の踊り場で皇帝であり夫であるネイサン・サッカリーから離縁を宣言される。アンダーソン家の女子は代々王家に嫁ぐことが決められており、彼女も例外ではな
かった。その為、幼少から厳しい妃教育に耐え、結婚したというのに、彼女は夫からいっさい顧みられなかった。それどころか、夫は彼女の実父の後妻の娘、つまり義姉と公然と浮気をしていた、そして、彼女と離縁後義姉と結婚するとも宣言する。しかも、彼女を隣国の国王に生贄に捧げるとも宣言した。だが、彼女は内心よろこんだ。やっと自由になれる。自由になれるのなら、生贄でもなんでもなるわ、と。が、その踊り場で事故が起こる。義姉が彼女を階段から落としたのだ。全身を強く打ち、気を失うサエ。気を失ったまま、彼女は隣国へと運ばれてしまう。隣国オーディントン国の国王に会うサエ。国王ヴィクター・ホワイトウェイはごつくて強面で、彼女に対して非情かつ無情だった。が、彼女はきく。感じる。「うわぁ、可愛い。こんなに可愛いレディがおれの妻になってくれるのか?」と。事故のショックで彼女は目覚めたのだ。「真実の声」を感じる特殊な力に。ヴィクターの言葉とは裏腹な彼の真実の声。そのお茶目で愛くるしい言葉の数々やまっすぐで真摯な想いに、サエもいつしかヴィクターに心を許すようになり……。というか、うまく扱うようになり……。一方、サエを離縁した皇帝と彼女の義姉は、破滅へと突き進み始める。
※全五十八話。ハッピーエンド確約。ゆるゆるでご都合主義な設定、ご容赦願います。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-14 20:03:24
82097文字
会話率:28%
「ようこそ、勇者達よ。どうか、私の国を魔族の脅威から救ってほしい…」
いつもと変わらない、平凡で退屈な生活が続くと思っていたある日、ある学校の生徒達は異世界に召喚された。それも、恐ろしき魔族から国を救うという大役のために。
恐ろしさに震える
クラスメイト達を見て、ある一人の生徒が立ち上がる。
「望まれているのなら、俺はそのために頑張りたい。みんなも、力を貸してくれないか!?」
元の世界でも人望の厚かった彼の言葉に感化され、他のクラスメイト達も次々に応じていく。
こんな事は二度とない、詰まらない日常をただ無為に過ごす運命が変わった今、退く気にはならない―――青年達は拳を突き上げ、一致団結して魔族の脅威に立ち向かうことを決めた。
……ただ一人を除いて。
(こいつら……本心とは裏腹にこんなご立派なことを言えるとは。逆にすごいな)
他人の心の声が聞こえる能力を持って生まれてしまった人間不信の青年が、正義に猛る青年達の中に見た本心とは。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-06-18 10:23:35
6765文字
会話率:9%