これは、世界樹の森で見た、遥か昔、遙か遠くの夢の記憶。
中世、中欧にスイスという国がまだ生まれる前、そして建国の時を迎えようとしている胎動の時代。
神聖ローマ帝国は長く王の空位の時代が続いて、アルプスの領邦はそれぞれに独自の自治を築き
上げていたが、新しくハプスブルク家の王が立つと、それらの領は次々と王の支配下に組み入れられていった。
一番山奥の領邦で、修道院を主な領主とするウーリは、アルプスの峠道の開拓をし、独立の自治の体制を築き上げていた。それは青空会議で政治的決定をする直接民主制で、王や領主からも独立した自治の特許を得たものだった。このウーリにも新しい王の魔手は迫っていた。
ある日、羊飼いのアルノルトと妹のアフラは迷子の子羊を追い掛けて、眠りの森の中に大きな楢の木と小さな家を見つけた。そこで出会ったヴァリス人の子供に手掛かりを聞いて、さらに山を探して歩くと、そこで高貴な人々に出会う事になる。それは周辺国の王族の子供達だった。アフラは王族の子供達に気に入られてしまい、そこからこの兄妹達とウーリに様々な騒動と、歴史的出来事が起こって行く。
そして、この子供達は旅を通じて成長して行き、弓の名手、ヴィルヘルム・テルと共に、スイスの建国の前身を作って行くことになる。
この物語は夢の中の風景であるに関わらず、実在の人物が登場する、スイス建国の詳細な物語でもあります。
読む人は中世中欧の当時の生活風景や、今や消えかけたその伝統を、明快な歴史ビジョンで辿って見て行けます。そのため、所々、学究的な難しい話を含みます。
中世ヨーロッパの精神の中心に到達する、夢の奥源の旅でもあります。
この作品には歴史研究として5つの試みが篭められています。
① スイス建国の歴史的背景、中世当時の民族風景を描く
② スイス圏を始め、ドイツ、ブルグンド、イタリア、チェコ、
中央ヨーロッパの歴史文化を広く拾遺し、文化や思想の源流を描く
③ 初期ハプスブルク王家とブルグント圏との戦いの歴史に、新たなビジョンを示す
④ 当時を席捲し、消えていった、エックハルトの神学を判りやすい言葉で解題する
⑤ 中世当時の医療のあり方と、ハーブ医療の歴史
これらを研究する方は、より明快な全体像を見ることでしょう。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-05-05 22:34:30
819069文字
会話率:60%
ここは無数の窓が浮かぶ摩訶不思議な空間である。
一人の人物がその中心に立って窓を覗いている。
ある窓からは絶佳にして華麗なイラストが。
隣の窓には気負いのない素朴な線で描かれたイラストが。
窓ごとに違うイラストが間近に迫り、一幅
の絵画のように鑑賞できるのだ。
そう、ここは私、紅月 実(コウゲツ ミノル)の至福の空間。
ありがたくも拙作に寄せてくださったイラストを収蔵してあります。
こうしておけば、お宝イラストを眺めて一人ニヨニヨできますから!(宣言
※イラストは絵師様方のご厚意で使用させて頂いています。無断使用や複製は固くお断りします。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-05-12 11:55:39
3045文字
会話率:6%
はるか昔に王を失ったまま王の空位が続く、空王の都ツェライ。そこに住むラーダは、追われていた少女に街はずれで出会い、彼女を助けようとブラフマーナの少年を殴り飛ばす。
最終更新:2015-08-02 23:14:51
219111文字
会話率:36%