私は絶望を覚えていた。
危機に瀕したプロジェクト。システム開発部との組織的な軋轢。連日に渡る長丁場の会議と、責任の所在を押し付け合う同僚たち。会社中に緊迫した空気が流れる中、私にとって喫緊の課題はただ一つ。
――トイレに行きたい。
私は子どもの頃、まさかミケ猫先生の短編小説集を枕にして寝るような少年であった。擦り切れるほど読んだ『吾輩は猫じゃニャいです』には、私の人生哲学が全て詰まっていると言ってもよい。この主人公のように、人のために真っ直ぐ行動できる男になりたいと思って生きてきたのだ。人生で悪いことなど何一つしていない。だから。
――今、トイレに行かせてほしい。
昼食に食べた牡蠣フライカレーがいけなかったのか。突き刺すような強烈な便意に、私の額には脂汗を浮かび、背筋にはゾクゾクと悪寒が走っていた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-12-23 17:01:04
13259文字
会話率:43%
ギャグマンガ日和にこんな歌ありませんでしたっけ
バター = 牧場のアボカド は某クイズノックさんリスペクトです
最終更新:2023-07-17 15:55:35
2605文字
会話率:0%
ふとした時に、頭をよぎる。
俺は、何か大事なことを忘れてるんじゃあないか?
喉に刺さった小骨のように、つっかかって出てこない。
暫くなんの事かと思いを馳せるが、いつの間にか気にしなくなっている。
そういうことが、時々あった。
あ、
ほら、また。
「忘れるな、忘れるな、忘れるな!」
なにを?
「彼奴を…」
彼奴?一体誰のことだ。
「彼奴はーーーーー」
…おい、おい?
あれ、なにを考えていたんだっけな。
ーーーーーーーーー
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-01-25 03:04:55
2501文字
会話率:33%
晩秋の弓道場に小雨が降り注ぎ、矢道の芝生を青黒く濡らしている。
一礼して、射位に歩を進ませた。
的までの距離は28メートル。
半身に構え、両足を踏み開く。
立ち位置を探る足裏に、擦り減った床板の感触が荒い……
かつて耳にした弓の弦音
に焦がれ続ける男の話。
【短編 No.17】執筆期間 2018.11.22 〜 2019.01.01折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-01-01 02:48:59
19624文字
会話率:51%
生まれて初めておいしいと思える牡蠣フライに出会ったOL絵月が牡蠣フライにのめりこみ、牡蠣フライとの付き合い方を学ぶ話。
この話はカクヨム様にも投稿しています。
最終更新:2017-05-17 15:39:00
5006文字
会話率:10%