──僕は、誰を愛し、何を信じて生きていくのか。
名門医局の期待、遠い異国の恋、そして許されぬ選択。
現代に蘇る、もうひとつの『舞姫』。
東京・武蔵境の教会で育った柊一郎は、翻訳者でありシングルマザーの母・美佐子に支えられ、誠実で学問に真摯
な医師へと成長した。名門・北都大学医学部に進み、脳神経内科で才能を発揮した彼は、恩師・木村教授に見込まれ、教授の娘・祐子と静かな恋を育む。教授の後継として将来を期待される一方で、英国ロンドンの名門研究所への留学の機会を与えられる。
遠く離れた地で、一郎は冷徹だが誠実なJonathan教授と出会い、厳しい研究の日々を送る中、舞うように歩く女性研究者・エリーと出会い、やがて心を通わせていく。だが日本では、母の病が進行し、祐子の心も蝕まれていく。一郎がロンドンでエリーとの子を授かったことを知った祐子は、自ら命を絶ち、その遺書が一郎の胸を深くえぐる。
さらに追い打ちをかけるように、かつての研究成果が恩師・木村教授の名で盗用されて発表される。尊敬していた教授の裏切り、そして祐子の死。自分の無力さと罪悪感に沈む一郎を支えたのは、エリーの存在と、母、美佐子、そして何よりJonathan教授の誠実な言葉だった。
やがて、美佐子はロンドンでの治療を経て回復し、Jonathanと静かに再婚。Jonathanは家族となり、同時に真の“師”となる。一郎は自らの研究成果を正当に評価され、ついにはJonathanの後任として研究所長に推薦されることになる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-15 21:01:37
17952文字
会話率:34%
80歳以上まで生きることが当たり前になった現代において、一人の大学生がいつもと変わらない夏季休暇を過ごしていた。しかし祖母の家で偶然入った静かな部屋が、彼の平凡な日常を変え始める。眠っていた過去の記憶が呼び覚まされ、彼の心は揺れ動く。そんな
中たくさんの人たちとの出会いの中で、少しずつではあるが変化が生まれてくる。彼は何かを見つけることは出来るのだろうか?旅の果てに、彼はその静かな部屋に再びたどり着くのだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-12-06 18:07:08
43378文字
会話率:13%