『なんだ、この出来損ないは』
自分が生まれるよりも前に、私に“異香”の印を刻みつけた吸血鬼。初めて会ったその瞬間に私はそう拒絶された。その人の為にいたかったのに、たった一人、吸血鬼と“異香”の住む街で暮らすことになったユウリ・エンデュラン
スは、捨てられたことにより周りに嗤われて過ごしていた。
ーーーーあの夜に、金を纏った吸血鬼にで会うまでは。
『異香』
公の意味…優れた良い香り。『異』は抜きん出ていることを指す。
上記より、この物語の中では、吸血鬼によってその香りを与えられた者を指す。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-10-31 07:11:18
60135文字
会話率:30%
今は昔、神の威光を受け継ぐ帝の治世。
その治世の届かぬ魑魅魍魎蔓延る旧都。
そこにその少女はいた。
不浄である色の抜けた髪、濁って混ざった色を湛える瞳。確かにそれらは禍々しく、更に少女の身体を這う紋様がそれを助長させる。
神聖な神
に仕える神職である巫女の装束を纏っていながら、その姿はまるで対極。
曰く、神を奉じない禍々しき不浄の巫女。
曰く、恐れられし忌み子。
曰く、旧都に住む人の姿をした化生。
曰く、曰く、曰く。
そんな少女は、人の世で何を思うのか。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2013-06-07 15:30:16
8134文字
会話率:27%