「あなたを断罪します」
――そう言われたのは、婚約者であり王太子である男の口からだった。
セレナイト=フォン・デメトリア。
王国第三王女にして、冷酷無比と恐れられた“悪役令嬢”。
彼女は“断罪制度”により、罪人として公開裁判にかけられた
。
罪状は、王子との婚約契約違反。
だがその場で、彼女は“構文魔術”をもって契約の矛盾を暴き、制度そのものを「違憲」と言い放つ。
この世界では、法と魔法と宗教が「契約の言葉」で結びついている。
魔導契約とは、言葉で構成された術式であり、嘘をつけば魔法が崩れる。
だが“断罪制度”は、感情と民意によってゆがめられ、法として機能していない。
敗北と追放を受け入れたセレナイトは、辺境へと去る――
だがそれは、始まりだった。
これは一人の悪役令嬢が、“制度そのもの”に裁きを下すまでの物語。
恋愛では救えない。正しさだけでは変えられない。
だからこそ、彼女は――契約と論理で、世界を告発する。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-22 23:18:19
3407文字
会話率:26%