拡張型心筋症と診断されて5年。隆介は焼津アルプスを再び歩くことを決意した。玄関の下駄箱から山歩きの靴を取り出すと、亡き妻・三津子との思い出が蘇る。植物を愛し、「自然は最高の芸術家よ」と語っていた彼女。玄関脇には、三津子が育てていたシャクナゲ
が今も静かに咲いている。
5年前、三津子を失った直後の山歩きは、ただ寂しさから逃れるためだった。だが今は違う。病と向き合い、残された時間の大切さを知った今、同じ一人旅でも心は孤独ではない。むしろ、三津子が愛した自然の息吹に触れることで、深い充足感を覚える。
花沢の里から満観峰へと続く道で、ツワブキの黄色い花を見つける。「秋の山を照らす小さな太陽ね」。三津子の言葉が耳元でよみがえる。頂上からの眺望は5年前と変わらず、駿河湾、富士山、南アルプスの山々が美しく広がっていた。
下山途中、隆介は静かに微笑む。これが最後の山歩きになるかもしれない。でも今、この瞬間は、何物にも代えがたい宝物となった。家に戻り、夕暮れの中で咲くシャクナゲを見上げながら、「また来られるといいな」とつぶやく。それは願いであり、祈りであり、そして新たな決意でもあった。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-02-24 21:04:30
2531文字
会話率:11%
突発性拡張型心筋症と言う心臓の難病を抱える松宮星(まつみやあかり)は、幼い頃からの愛読書である銀河鉄道の夜に出てくる汽車に乗りたいと言う一風変わった夢を抱いていた。その夢には悲痛とも言える星の人生観が詰まっていた。
そんなある日、たまた
ま出掛けた先で出会った星の親友竹下陽香の幼馴染みである新生優也に一目惚れした。
人生で初めての恋に戸惑いながらも優也との仲を深めていく星。
果たして、星の病は治り優也と無事に結ばれるのか。そして、ラストに待つ感動の結末。
切なさ、愛しさ、悲しさ、その全てが詰まった青春ラブストーリー。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-04-21 23:49:30
91840文字
会話率:60%
自分の命を見つめる少女と、それを支える若き医師の、悲しくて美しい恋愛小説。
人の幸せとは、長生きすることではない……
病床数130床の心臓専門の病院に、雨宮紡人という若手の医師が勤めていた。
集中治療室(ICU)は常に満床。毎日のように
送られてくる救急の患者。夜も満足に寝ることもできず、めまぐるしい激務をこなす日々。そんな雨宮は、ある1人の患者を受け持つことになった。
患者の名前は、柊未羽。
重い心臓病『拡張型心筋症』を患う19歳の少女だった。過去に2度の手術を行っており、家族からはこれ以上の治療を望まないという。その余命は、おそらく1年。
心の殻に閉じこもっていた彼女が、たった1つのわがままを口にする。
「病院を出て、自由に生きたい」
退院して静かな別荘地に住むことになる、雨宮と未羽。
医者と患者。その関係を保ちながらも、2人は互いに惹かれていく。
残された時間を、噛み締めながら……
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-07-30 20:12:02
151023文字
会話率:47%
28歳にして心臓の病気「拡張型心筋症」という難病を授かった筆者の体験談♪
最終更新:2015-07-13 14:25:16
275文字
会話率:23%
夏が来て額に汗が浮かぶ頃、私は思い出す。飛ぶことの出来ない小さな鶏。ヒヨコとも形容できるか弱い鶏を。
最終更新:2011-07-25 00:00:00
5860文字
会話率:0%