その日、ボロアパートの庭でカクテルドレス姿の彼女に出会った。
「……やっぱり、上手く描けない」
その少女が描く絵は人々の心を揺り動かし、売りに出せば数億円もの値が付くという。
誰もが知る成功者にして有名人。おまけに超の付く美少女。
「え……どうしてここに?」
だというのに、彼女は何かに絶望したかのような顔で絵を描いていた。
「おねえちゃん、へたくそだな」
「わたしのほうがうまくかけるよ」
「それかしてみ、なおしてやるよ」
世間で賞賛される絵を描くもしかし、目の前の彼女が描くものは子供達にも罵倒される代物。
一体どういうことだろうか?
「笑顔、描きたいのに……っ」
彼女にはどうしても描きたくて、描けないものがあった。
これは、笑えなくなってしまった俺と笑顔を描きたくても描けない口下手な彼女が、笑顔になって行く物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-03-29 19:08:49
20617文字
会話率:36%