阿部英子は囲碁サークルで知り合った原田みどりにお茶に誘われる。感性で囲碁を打つ英子と違って、みどりは緻密な計算のもとで囲碁を打つ人である。そんなみどりが「幽霊を見てみたいと思わない?」と英子を誘う。みどりは最近になってから毎晩のように幽霊
を見るのだという。英子は実際に幽霊を見ることができたら、揺るぎのない死生観を持てるような気がして、「ぜひ見てみたい」と返事をする。みどりに案内されて彼女のマンションに行くと夫の写真が飾ってあった。幽霊はみどりの夫で今年の夏に脳梗塞で突然亡くなったという。みどりが夫恋しさに毎晩泣いていたらある日玄関の鍵を回す音がして、いつものように鞄をもった背広姿で夫が立っていたという。その夫に英子が実際に会ってみると、顔色が青白く儚げな雰囲気がする以外、特に変わった様子はなかったが、足元をよくみるとほんのわずかカーペットから浮き上がっているように見えた。
後日英子は囲碁サークルでみどりとまた対戦になった時、夫の様子を尋ねると夫はまたあの世に帰ってしまったとのこと。今帰らなければ、二人がまたこの世で巡り合うタイミングを逃してしまうのだと言う。「夫はわたしにね、ちょうどいい時に迎えに行くからと約束してくれたわ」みどりは落ち着いて答えた。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-12 16:05:41
13287文字
会話率:38%
私が通う囲碁サークルの先輩、星野さんがおかしなことを言い始める。
「スライムって本当にいるんだね」
見間違いだと思いながらも、スライムを見たという星野さんの話を聞くと、さらにおかしなことを言い始めて――。
そして、スライムがいたという場所に
行ってみると、ほんとうにそれらしいものが見つかって……。
という感じのミステリーです。
ファタジーではないのです。
踊るキグルミ http://ncode.syosetu.com/n7568cs/ のシリーズ作品です。
単独で読んでも大丈夫なんじゃないかと思います。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-04-25 00:06:07
34565文字
会話率:28%