無職で引きこもりの主人公・三嶋夏樹(みしま・なつき)は母親と喧嘩し、あてもなく夏の日ざかりのなかをぶらついていた。そして初恋の相手だった小田桐花江(おだぎり・はなえ)と再会する。
自分がまだ何者でもないのに対し、彼女は結婚し、子どもを産
み、母親になっていた。三嶋はつい見栄を張り、彼女に「小説家になった」と嘘をついてしまう。
そんな彼に熱い視線を向けるのは、花江の娘・花(はな)だった──。
三嶋は花江と花、二人と交流を持ち、やがて花が書いた小説を読むことになる。
しかし花が書いた小説は極点の才能を感じさせはしたが、それは小説と言うにはあまりにも残虐な、真っ黒な妄想を書き連ねただけのものだった。
彼もかつては小説を書いていた。だがいつしか書けなくなり、現実の前に屈してしまった。
彼はもう小説を書くことに、辛さしか感じていなかった。
そして三嶋は、花の世界を知る。
学校でのいじめ、家庭内の不和、頼れる人間の不在──。
少女には、この世界のどこにも居場所がなかった。
嘘を見抜かれて何もかもを失った三嶋は、自分の人生を賭け、いつか小説家になる少女にこの世界の生き方を教えてあげようと、彼女をさらいに行く。
少女がその差し出された手を握ったとき、二人の『小説を書くこと』を巡る旅が始まった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-10-15 22:24:25
48345文字
会話率:22%
受験を控えた高校3年、当時の私は友人関係で悩んでいた。そんな中言葉を交わすようになった男子生徒がいた。
10年後、開催される同窓会で彼と再会するとき、あの時言えなかった気持ちをいうことができるだろうか?それとも思い出のまま懐かしいと思うの
だろうか?
揺れ動く高校時代と初恋の人との再会を描いた青春ものがたり折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-02-02 20:20:58
17444文字
会話率:39%
冬のお盆、「雪逢時」(ゆきあいどき)。
一月五日からの六日間にその年初めての雪が降れば、その日だけ死者が帰って来る。
亡くなった初恋の人との再会を望む少女に、幼なじみの少年はいつも歯がゆい思いをしている。ある年の雪逢時、少女は初恋の人との再
会を果たした。
翌日、幼なじみの少年を呼び出した少女は、思わぬ告白をし始めて……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2013-08-20 12:52:33
3447文字
会話率:34%