気付けば真っ白い空間にいた。
「ここは…?」「時空の間です。」「…誰だ?」「女神です。」「女神…ね…。なんで俺はこんなところに…?」「それはあなたが死んだからです。」
そう女神に言われて思い出したのは本を読みながら横断歩道を渡るランドセルを
背負った女の子と赤信号を突っ込んできた4トントラック、そしてその間に割り込んだ彼。
「あの女の子は?助かったのか?」「そちらに。」「…助けられなかった…か…。」
女神の視線を辿れば赤いランドセルの横に横たわる女の子。彼は女の子の側に寄り上着をかける。
「…ごめんな。」
彼は名も知らない女の子にそう言って頭を撫でる。
「生き返りたいですか?」「…生き返れるのか?」「はい。理不尽な死への救済です。ただし、生き返るのは地球ではなく“異世界”にですが。」「転生か?」「そうですね。容姿も年齢も身体も記憶も所持品もそのままに。どうしますか?」「…この子は?」「お教えできかねます。これはあなたが選択することです。」「そうか。」「規則ですので。…ではどうしますか?」「……転生します。」「そうですか。良かったです。」「良かった?」「えぇ。では、さっそく転生させます。…あぁ、言い忘れていましたが、あなたは実を言うと理不尽な死への救済外です。助けようとしなければ生きていますので。なので本来は転生できないのですが今回は特例です。そして救済外ゆえにスキルの付与はありません。…それでは、行ってらっしゃいませ。」
その言葉を合図に真っ白い空間は崩壊していき、やがて彼の意識は落ちていった。
次に目を覚ますと彼は森の中にいた。
そして、助けたかった女の子に膝枕をされていた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-09-09 15:00:00
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