この世界はレベル至上主義である。
しかし貴族の長男として生を受けたその少年は、生まれつき『レベルが一切上がらない』という、あまりにも絶望的な特異体質だった。
どれだけ教育や訓練を受けてもレベルが上がらず、ただの一つも魔法を習得することが
できない。
少年は領主である父親から失望され、十五歳の誕生日に故郷を追放されてしまう。
しかもそれだけでなく、少年が一族の出身であると知られることすら恥だと言い切られ、魔法によって自分の素性や本名を明かせなくされてしまう。
ところが、盗賊に襲われて殺されかけた瞬間、少年の体に隠されていた不思議な力が覚醒する。
その名は『レベルドレイン』――他人のレベルを吸収して自らの力に変え、更にはレベルアップによって習得した魔法を我が物とする、まさしく禁断の力であった。
レベル至上主義の世界を揺るがす能力を得た少年は、過去の自分を皮肉った『ゼロ』という偽名を名乗り、新たな人生をスタートさせたのだった。
この物語は、故郷どころか名前まで奪われた落ちこぼれが、傲慢な実家を見返し、更に高みへと駆け上がっていく大逆転劇である。
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注:本作は連載用に考えているプロットの序盤部分を短編として仕上げたものであり、評判によって正式連載をするかどうかを判断する予定です。
短編としても問題なく楽しめるようにしているつもりですが、タイトルやあらすじの回収が不十分かもしれませんので、ご了承ください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-10-09 21:09:13
16807文字
会話率:29%