「枯れた聖女にもう用はない。この金を持ってどこにでも消えるがいい」
王国の聖女ソニアは21歳を迎えた誕生会にて、第二王子シグムントより婚約破棄を言い渡された。
あまつさえ王子は新しい聖女モイラとの婚約を宣言し、ソニアを同棲先の離宮から追
い出した。
後に残ったのは莫大な手切れ金と、年齢により力の大半を失った我が身一つだけ。
聖女としての人生しか知らなかった彼女は途方に暮れた。
ところが失意のソニアは森で一匹の狼と出会った。それは出奔したと思われていた、第一王子ジークが呪いを受けた姿だ。
似た境遇にあった二人は否応なく惹かれ合い、二人は新しい町でブックカフェを開く約束をした。
ちなみに――ソニアの中で枯れていたのは精神だけで、聖女の力は最初から失われてなどいなかった。
一方でソニアが力を取り戻してゆくにつれ、新聖女モイラの力が急激に衰えていったが、それは二人にはなんの関係もない話だ。
これは月のない夜だけ人間に戻れる元王子と、笑い方を忘れてしまった元聖女の物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-04-25 19:31:32
112535文字
会話率:48%
むかしむかし、ある大きな森に、美しい銀の毛皮を持つ狼がおりました。その狼は銀狼と呼ばれ、一匹で生きてきました。銀狼はある日、金色の瞳の白ウサギと出会いました。
※r15は保険です。
最終更新:2019-12-31 13:57:53
4702文字
会話率:0%